朝鮮文学家同盟

朝鮮文学家同盟の概要

朝鮮文学家同盟（ちょうせんぶんがくかどうめい）は、1946年に結成された文学団体で、主に進歩的な文学運動を推進する目的を持っていました。その登場は、連合軍の軍政期という特殊な時代背景に根ざしており、朝鮮半島における共産主義の影響を受けた組織でした。

結成の背景と目的

この団体の結成は、1925年の朝鮮におけるプロレタリア文学運動の流れに端を発します。当時、日本統治下にあった朝鮮では、KAPF（朝鮮プロレタリア芸術連盟）が結成されましたが、弾圧や内部の転向により、1935年に活動を停止しました。それ以降、日本の敗戦まで、朝鮮の文学運動は長い潜伏期間を迎えることになります。

太平洋戦争終戦後、各派の文人たちが再び集結し、朝鮮文学建設本部が設立されましたが、その方針は階級闘争というよりも民族のための文化構築を重視していました。これに不満を抱いた一部の文人たちは、より具体的に階級的志向を持つ文学運動を進めるため、朝鮮プロレタリア文学同盟を結成しました。1945年12月、これら二つの団体は朝鮮共産党の要求に応じて統合することになり、仮称「朝鮮文学同盟」として活動を開始しました。

1946年2月8日の朝鮮文学者大会で、正式名称が「朝鮮文学家同盟」に変更され、五大綱領が提示されました。これらの綱領は「日本帝国主義の残滓の掃蕩」「封建主義の残滓の清算」「国粋主義の排撃」「進歩的民族文化の建設」「朝鮮文学の国際文学との提携」といった内容でした。

組織構成と内部の葛藤

組織の中心となったのは洪命熹で、ほかにも李箕永や韓雪野、李泰俊が重要な役割を担っていました。しかし、内部には朝鮮プロレタリア文学同盟の背後にある影響力が残っており、反発が存在しました。また、朝鮮文学建設本部派との対立も見られ、二つの勢力の間での葛藤が深まっていました。

組織は、小説、詩、評論、戯曲といったジャンル別に部門を設け、さらに農民文学や児童文学、古典文学を扱う委員会も設置しました。全国各地に支部を拡大しながら、文学の発展を目指して活発に活動を行いました。

活動と解体

朝鮮文学家同盟は、中央文化協会と緊密な対立を形成し、文学界を左右に分ける結果となりました。1946年には機関紙『文学』を創刊し、朝鮮文学賞を設けるなどの活動を展開しましたが、軍政下の圧力が徐々に強まり、次第に活動は制約を受けることになります。

1950年代に入ると、弾圧が激化し、組織の主要メンバーが脱出を余儀なくされました。最終的に朝鮮文学家同盟は第1共和国の樹立に伴い分断され、事実上の瓦解を迎えることになりました。残ったメンバーは国民保導連盟に参加しましたが、朝鮮民主主義人民共和国へ移る文人も多く、分裂が確定しました。

このように、朝鮮文学家同盟は一時的な進歩的文学運動の象徴とも言え、激しい時代の中でその役割を果たそうとした団体でした。

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