朝鮮総督府警務局

朝鮮総督府警務局

朝鮮総督府警務局は、朝鮮における警察事務を管轄するために設置された部局です。本稿では、その前身である統監府警務部についても触れながら、その沿革、機構について詳しく解説します。

沿革

統監府警務部

日本の朝鮮における警察機構は、1905年12月21日に設置された統監府警務部にそのルーツを持ちます。警務顧問として丸山重俊が招聘され、統監府及理事庁官制に基づき警務部が発足しました。警務部の長は警務総長が務め、理事庁には警部が配置されました。警務部には、高等警察課、警務課、保安課、衛生課の4課が設けられました。

警察事務の委任と警察官署の設置

1910年6月24日、大韓帝国の警察事務が日本に委任され、韓国の警視庁と警務局が廃止されました。これに伴い、同年6月30日には警察官署官制が公布され、統監府外局として警察官署が設置されました。中央には警務総監部が置かれ、地方には警察部と警察署が配置されました。警務総監部の長は警務総長で、韓国駐箚憲兵隊司令官が兼任し、韓国の警察事務全般を総括しました。また、皇宮と漢城の警察事務も担当しました。この制度は、韓国併合後、朝鮮総督府が設置された後も引き継がれました。警務総監には憲兵隊司令官が、各道の警務部長には憲兵隊長が任命され、地方行政機関とは別に一般警察・衛生事務を統括・執行する体制が構築されました（憲兵警察制度）。

憲兵警察制度の廃止と警務局の設置

1919年8月20日、憲兵警察制度は廃止され、独立官庁であった警務総監部と各道の警察部も廃止されました。新たに総督府（本府）に警務局が設置され、地方では各道知事が警察権を行使することとなりました。また、各道には第三部（1921年2月以降「警務部」）が置かれました。機構再編の一環として警察署も増強され、1920年には京城（ソウル）に2署、平壌に1署、咸鏡北道に1署、釜山に1署の計5つの警察署が新設されました。また、各道の839ヶ所の駐在所と14ヶ所の派出所のうち、防犯上重要な駐在所には警部補が追加配置されました。

機構

1941年9月1日時点の警務局の機構は以下の通りです。

警務局
警務課
防護課
経済警察課
保安課
図書課
衛生課
発破技術員養成所

この他に、総督府所属の官署として警察官講習所がありました。また、各道には警察事務を担当する部局として警務部が置かれていました。

参考文献

朝鮮総督府編『施政三十年史』（朝鮮總督府、1940年）
朝鮮総督府編『朝鮮事情　昭和十七年度版』（朝鮮總督府、1941年）
戦前期官僚制研究会編『戦前期日本官僚制の制度・組織・人事』（東京大学出版会、1981年）

関連項目

台湾総督府警察（台湾総督府警務局）

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