朝鮮総督府鉄道デロニ形電気機関車

朝鮮総督府鉄道デロニ形電気機関車の概要

朝鮮総督府鉄道デロニ形電気機関車は、日本の朝鮮統治時代中に日立製作所によって製造された電気機関車です。特に朝鮮国内で最も急勾配の路線を運行するために開発され、デロイ形と共に著名な存在となりました。この機関車は、京元線（現在の京元線および江原線）および咸鏡線の福渓駅から高山駅までの53.9 kmにわたって運行され、峠越えを必要とする列車の牽引に活躍しました。

デロニ形とデロイ形は、東洋初の直流3,000 V電気機関車として設計されており、特に急勾配路線向けに電力回生ブレーキや重連用の総括制御機能を持っていました。1943年に日立製作所の水戸工場からデロニ形の2両が納入され、その後、東芝製のデロイ形4両とともに1944年4月1日から運行を開始しました。これらの機関車は、1,200トンの列車を時速42 km/hで牽引する力を持っていました。

構造と性能

主電動機

デロニ形の主電動機は、350 kWの出力を備えていました。この出力は、同じ時期のデロイ形の385 kWと比較して低い数値となっていますが、最高速度は75 km/hで同じであり、定格速度は42.5 km/hから44 km/hに向上しています。これは、設計上の工夫によるものです。

ブレーキ機能

デロニ形は、通常の空気ブレーキに加え、電力回生ブレーキも備えているため、運行中の安全性や効率性が向上しました。

デロイ形との違い

デロイ形とデロニ形は、設計段階では同じ名称で呼ばれていましたが、後に個別の形式として区別されるようになりました。両機関車は性能的には類似しているものの、装備されている補器の駆動方式に違いがあります。デロイ形は高圧式の3,000 Vで駆動するのに対し、デロニ形は100 Vの低圧で運転されました。両車両の重量は異なり、資料によって誤差が見られるが、『朝鮮交通史』によるとデロイ形は139トン、デロニ形は136トンとされています。

発注と納入状況

発注時にはデロイ・デロニ合わせて26両が計画されましたが、これは戦時中の資材確保を考慮した便宜的な数であったとされます。実際には16両の実需が見込まれており、26両分のリソース動員が必要であったため、必要な資材が整う目算を持っていたことがわかります。

納入台数に関しては、様々な出典があり混同が生じることがあるものの、日本電機工業会の資料にはすべてデロイとして扱われている中、日立製の6両はデロニ形に相当します。

関連情報

デロニ形電気機関車の設計や運用に関しては多くの資料が存在し、朝鮮交通史や日本電機工業史などの文献で詳細が語られています。特に、朝鮮総督府鉄道局の設計責任者である西山重道の著作には、当時の技術的な challenges や成功の秘訣についての貴重な手記があります。これらの文献を通じて、デロニ形電気機関車の意義や技術的な進展を深く理解することができるでしょう。

近年でも、この機関車は鉄道ファンや歴史研究者の関心を引き続き集めており、朝鮮の鉄道史において重要な位置を占めています。

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