朝鮮総督府鉄道マテニ形蒸気機関車

朝鮮総督府鉄道マテニ形蒸気機関車の詳細

朝鮮総督府鉄道マテニ形蒸気機関車は、日本の朝鮮統治時代に朝鮮総督府鉄道によって使用された旅客用のテンダー式蒸気機関車です。この機関車の形式名「マテニ」は、ホワイト式車輪配置の4-8-2、すなわち日本式では2D1、アメリカ式では「マウンテン」とも呼ばれる形式を指します。これらの特徴は、機関車の設計において重要な要素となっています。

概要

第二次世界大戦中、朝鮮半島内の京元線や咸鏡線において旅客輸送の需要が急激に増加しました。特に、これらの勾配がきつい線区では、標準的なテホ機関車では力不足とされており、貨物用として利用されていたミカサ機関車が旅客輸送にも用いられていました。しかし、旅客輸送の増加に対応するため、新たにマテニ型の製造が決定されました。この機関車は、朝鮮半島北部の冷涼な気候を考慮し、密閉キャブという設計が採用されました。また、京釜線の普通列車にも使用されており、北朝鮮では2003年まで現役で運行されていたと確認されています。

製造

マテニ形蒸気機関車は、1943年から1945年の間に川崎重工業で33両が製造されたと推測されていますが、時の経過と共にその正確な製造数は不明になります。「鉄道ジャーナル」の1969年8月号の情報によると、終戦時には20両が在籍していたとされていますが、南北分断後にはこの情報も変わっている可能性があります。

朝鮮戦争での被害と保存措置

朝鮮戦争の末期、1950年12月31日に長湍駅構内で中国軍の攻撃により、南下してきた国連軍とともにマテニ型機関車も爆撃を受けて破壊されてしまいました。その後、長らく放置されていたこの機関車ですが、2006年11月には保存措置が施され、臨津閣の「自由の橋」南端に展示されることになりました。この保存措置には約2年の期間が費やされ、錆の進行を止めるために行われた除去作業には10人の専門家が6か月を要しました。作業費用は製鉄会社であるポスコが負担しました。

主要諸元

• - 車輪配列: 2D1 (4-8-2)
• - 使用圧力: 14.0 kg/cm²
• - 最大気筒牽引力: 20010 kg
• - 機関車重量(運転整備時): 112.82 t
• - 最大長: 23,422 mm
• - 最大高: 4,600 mm
• - 動輪直径: 1,520 mm
• - 許容最高速度: 90 km/h

このように、マテニ形蒸気機関車は朝鮮半島の鉄道史において重要な役割を果たし、現在でもその存在は多くの鉄道ファンの記憶に刻まれています。

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