木下延由

木下延由 (きのした のぶよし)

概要

木下延由は、江戸時代前期の旗本交代寄合であり、豊臣秀吉の正室・高台院の一族である木下家出身です。彼は豊後国日出藩主木下延俊の四男として生まれました。延由は通称八蔵や縫殿助とも呼ばれ、豊臣家との関わりが深い人物です。彼に関する異説が存在し、豊臣秀頼の庶子である豊臣国松が延由であるとする伝承が木下家の子孫に伝えられています。

略歴

木下延由は、日出藩初代藩主・木下延俊の四男として誕生しました。彼の母は延俊の側室で広田氏出身の恵昌院で、延由には同腹に四人の妹がいます。また、異母兄には日出藩の二代藩主、俊治がいます。

1642年、延由は父の遺領の一部である豊後国速見郡立石5,000石を分知されました。その後、同年6月には徳川家光に謁見を許され、1646年には初めて自らの領地に入ります。彼は1658年に49歳で没し、法名は江岸殿月渕良照居士です。彼の遺骸は泉岳寺に葬られ、家は子の延知が継承しました。

豊臣国松説

延由の正体に関する異説では、彼は豊臣秀頼の庶子である国松だとされることがあります。この説は、木下家の18代当主・木下俊𠘑が昭和43年（1968年）に執筆した『秀頼は薩摩で生きていた』に基づいています。この伝承によれば、国松は大坂城の落城際に真田大助と共に四国から薩摩へと逃れ、伊集院の庇護を受けていたとされています。俊𠘑は、彼が名乗った「伊集院」とは地名であり、実際の庇護者は伊地知兼貞だったと説明しています。

さらに、徳川の治世が確立した後、延由は日出藩に身を寄せ、譲名を改められました。高台院の甥にあたる藩主の延俊は、彼を木下家に迎え入れました。この異説によると、延由は江戸時代の地位を失うことを恐れ、隠密の調査から逃れるために名の通りに振る舞っていたとされています。

延俊の遺言では、嫡男俊治を二代藩主にし、次男の縫殿助には日出領内の立石郷1万石を分封せよと伝えられていました。しかし、家老の長沢市之丞はこれを5,000石に抑え、最終的に立石藩5,000石の分知が認可されることに成功します。

長流寺には延由の位牌が納められており、そこには木下縫殿助豊臣延由との記載があります。この寺に所蔵されている位牌や先代の伝承によると、延由は豊臣家の一員としての誇りを抱いていたと考えられています。

系譜

延由の父は木下延俊で、母は恵昌院（広田氏）です。彼は大久保忠常養女との間に男子・木下延知をもうけ、後に二女が生まれました。延知以降の木下家は1923年まで存続が確認されています。また、傍流では立石領主・栄俊の弟・俊允が延俊の五男・俊之の孫に養子に入るなど、家系は今も続いています。

まとめ

木下延由は、豊臣秀頼の庶子とされる異説を持ち、江戸時代の社会において重要な位置を占めていました。彼が残した家系や伝承は、今もなお郷土の歴史として語り継がれています。

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