木星の衛星

木星の衛星について

木星は、太陽系内で2番目に多くの衛星を持つ惑星です。2023年2月現在、95個の衛星が確認されており、そのうち57個には正式な名前が付けられています。木星の衛星は、その軌道や特性によって、規則衛星と不規則衛星に大きく分けられます。

発見の歴史

1610年、ガリレオ・ガリレイによって最初の4つの衛星（ガリレオ衛星）が発見されました。その後、約4世紀にわたり、地上からの観測でさらに9個の衛星が発見されました。1975年にはテミストが発見されましたが、観測データ不足により一時的に見失われました。

1979年、ボイジャー1号の探査によって3つの新しい衛星が発見され、衛星の総数は16個となりました（テミストを除く）。

1999年以降、小惑星探査プロジェクト「スペースウォッチ」によって、小惑星とされていた天体が実は木星の新しい衛星（カリロエ）であることが判明しました。さらに、2000年にはハワイ大学のチームが組織的な観測を行い、テミストの再発見を含む11個の衛星を新たに発見しました。その後も観測は継続され、2003年までに多数の衛星が発見されています。

2010年と2011年には、S/2010 J 1とS/2010 J 2、S/2011 J 1とS/2011 J 2という新たな衛星が発見され、2017年にはカーネギー研究所のチームによって12個の衛星が発見され、その中には珍しい順行衛星のバレトゥードーも含まれていました。2021年にはアマチュア天文家によって80番目の衛星S/2003 J 24|S_2003 J 24が発見されました。

衛星の分類

木星の衛星は、その軌道特性に基づいて大きく規則衛星と不規則衛星に分けられます。規則衛星は離心率や軌道傾斜角が小さく、不規則衛星はこれらの値が大きいのが特徴です。木星の内側にある8つの衛星が規則衛星に分類されます。

木星の衛星は、軌道方向によっても分類できます。内側の21個は順行衛星であり、それ以外の衛星は逆行衛星です。逆行衛星は、木星に捕獲された小天体だと考えられています。また、衛星の名称にもルールがあり、順行衛星は語尾が「-a」、逆行衛星は語尾が「-e」となるように名付けられています。

グループ分類

1979年以前は、16個の衛星が4つのグループ（内部群、ガリレオ衛星、ヒマリア群、外部逆行群）に分類されていましたが、1999年以降の新たな衛星発見により、より複雑な分類が必要となりました。

現在では、以下の7つの主なグループと、いくつかの孤立した衛星に分類されています。

アマルテア群（内部群）: 直径200km以下、軌道半径が20万km以下の4つの小さな衛星。外から取り込まれたと考えられています。
ガリレオ群（ガリレオ衛星）: ガリレオによって発見された、軌道半径が20万kmから400万kmの4つの大きな衛星。太陽系でも最大級の衛星を含みます。
ヒマリア群: 軌道半径が1100万kmから1200万kmの範囲に集中し、軌道傾斜角が27.5°前後のグループ。
カルポ群: 軌道半径が約1700万km、軌道傾斜角が50°強の衛星カルポとS/2018 J 4からなるグループ。
アナンケ群: 軌道半径が平均2127万6000km、軌道傾斜角が149.0°前後のグループ。
カルメ群: 軌道半径が平均2340万4000km、軌道傾斜角が165.2°前後のグループ。
パシファエ群: 軌道半径が平均2362万4000km、軌道傾斜角が151.4°前後のグループ。最も分散が大きいグループ。

これらのグループは、それぞれ共通の起源を持つと考えられています。

衛星の仮称

アマルテア (Jupiter V) からレダ (Jupiter XIII) までは1975年に国際天文学連合 (IAU) によって正式に命名されました。それ以前は、ゼウス（木星）が長であるオリンポス神族の名を冠した仮称が使用されていましたが、小惑星名との重複を避けるため、現在の名称に変更されました。

一時的な衛星となった彗星

木星は、その強い重力によって彗星を一時的に捕獲し、衛星にすることがあります。シューメーカー・レヴィ第9彗星は、1994年に木星に衝突したことで有名ですが、この彗星や他のいくつかの彗星が一時的に木星の衛星になったと考えられています。

串田・村松彗星（1949年 - 1961年）
シューメーカー・レヴィ第9彗星（1960年代 - 1994年衝突）
ゲーレルス第3彗星（1966年 - 1974年）
ヘリン・ローマン・クロケット彗星（1967年 - 1985年）
ラーゲルクヴィスト彗星 (P/1996 R2)（1983年 - 1993年）

作品

X星
1965年の映画『怪獣大戦争』に登場する架空の衛星。当時発見されていた衛星の数よりも多い13番目の衛星という設定です。

関連項目

ガリレオ (探査機)

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