木村友重

木村友重の生涯と業績

木村友重（きむら ともしげ、1585年－1654年）は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけて活躍した紀州藩の武士であり、著名な剣豪であった。彼は運籌流と柳生流、特に後者の継承者として広く知られている。彼の人生は、数多くの師弟関係や軍の指導、さらには剣豪としての名声に満ち溢れていた。

生い立ちと剣術の修行

友重は天正13年、大和国邑地（現在の奈良県）の木村伊助の子として生まれた。父とともに浪人生活を送り、その後、近くの柳生庄を治めていた柳生宗厳（石舟斎）に仕官し、剣術を学ぶ。この出仕が友重の剣術人生の出発点であった。

江戸に移った後、宗厳の子、柳生宗矩に師事し、特に彼の兵法を深く学んだ。元和7年、宗矩が徳川家光の兵法指南役に就任したことから、友重もその流れに乗り、家光の教えを受ける機会を得る。友重は、家光の教え子としても名を馳せ、将軍への剣術の指南役としての役割を持った。

駿河への移動と業績

友重の人生における重要な転機は、家光の弟、徳川忠長の推挙によって駿河に移ったことだ。駿河に出仕しながらも、家光の命で江戸に出府することがしばしばあり、家光の剣術稽古の相手を務めることもあった。特に一部の試合では他流と戦うことになり、白銀を賜ることも経験した。

寛永11年、忠長の切腹によって失脚した後、友重は紀州徳川家の徳川頼宣に仕官し、和歌山に定住する。54歳の時には家光が集めた武芸者の前で、柳生流の武芸を披露し一際目を引いた。友重はこれまでの経歴からも、人々の期待を超えた実力を示したのである。

最晩年と死

慶安元年、従って江戸詰めとなり、家光の下屋敷訪問時には剣術を演じることもあった。しかし1626年、友重は臨終の際に再び武芸を披露し、最後までその生涯を剣士として全うした。彼は1654年に死去し、享年70歳であった。死後、一族は木村家として名を残し、嫡子の木村助九郎友安が家業を継いだ。

家族と子孫

木村家の系譜は詳細にはわからないが、友重の父は大和の豪族に仕えていた。友重の息子、友安は600石の所領を受け継ぎ、紀州藩士としての歴史を重ねた。しかし、彼が死去した際、友安の子は幼く、地位は減少したものの、友重の家系は続いていった。

明治維新以降、家業は変わり、木村家の当主は漆器制作に取り組むなど、時代とともにその職業を変更していった。

結論

木村友重の足跡は、兵法家としての彼の受けた修行と経験、また後の弟子や子孫に受け継がれた流派の重要性からも、剣術や武士の文化に多大な影響を与え続けている。彼の著書や記録は、今に伝わる剣士の精神を理解するための貴重な資料となっている。

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