木村昌平 (セコム)

木村 昌平（きむら しょうへい）は、日本の経営者としてセコム株式会社の発展に貢献した人物である。1943年5月2日に北海道釧路市に生まれ、2018年7月21日に75歳でその生涯を閉じた。セコムでは代表取締役社長や会長などの要職を歴任したほか、全国警備業協会の会長も務めるなど、業界全体にも大きな影響を与えた。

北海道釧路湖陵高等学校を卒業後、同志社大学文学部へ進学。大学時代は演劇活動に情熱を傾け、一時は映画監督を志していた時期もあったという。1966年に大学を卒業すると、現在のセコムである日本警備保障株式会社に入社する。

入社から間もなくその才能を発揮し、着実に昇進を重ねた。1975年2月には取締役に就任し、経営の中枢に関わるようになる。その後も1988年2月に常務取締役、1995年6月には専務取締役と順調に役員としての階段を上り詰めた。そして、2002年4月、満を持して代表取締役社長に就任。セコムのトップとして経営の舵取りを担った。社長退任後の2005年4月には代表取締役会長に就任し、企業統治や後進の指導にあたった。2016年6月まで相談役としてセコムに貢献し続けた。創業者の飯田亮は、若き日の木村氏に対し、40代を迎える頃に「私が最も関心があるのは、君がどこまで成長するかだ」と語ったとされ、その期待の大きさがうかがえるエピソードとして知られている。

セコムにおける経営活動に加え、社外においても幅広く活躍した。特に警備業界の発展に尽力し、全国警備業協会の第4代会長を務めたことは特筆される。会長在任中には、同協会を一般社団法人へと移行させる重要な改革を主導し、組織基盤の強化に貢献した。また、空港保安事業センターの評議員、日本救急医療財団の理事、日本情報システムユーザー協会の常任理事など、公共性の高い様々な団体の要職を歴任したほか、中央大学大学院の客員教授として教鞭を執るなど、社会貢献活動にも積極的に取り組んだ。

晩年は、親交のあった陶芸家の勧めを受け、栃木県芳賀郡益子町に移り住んだ。益子の地では、地域の人々との交流を深め、自ら「益子昌平塾」と称する講話会を主宰した。人生経験や経営哲学を語り、多くの人々に感銘を与えたという。その地域への貢献が認められ、益子町からは益子大使にも任命された。

病気療養を続けていたが、2018年7月21日、静かに息を引き取った。享年75。日本の安全保障や情報システム、医療など多岐にわたる分野に貢献した人生であった。

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