木村資生

木村 資生（きむら もとお）

木村資生（1924年11月13日 - 1994年11月13日）は、日本を代表する集団遺伝学者であり、中立進化説を提唱したことで知られています。彼は日本人で唯一のダーウィン・メダル受賞者であり、学術界における多大な貢献が評価されています。木村は、遺伝学と進化学の分野における重要な理論を打ち立て、数多くの栄誉を受けた学者です。

生い立ちと学業

木村は愛知県岡崎市菅生町に生まれ、岡崎市立投尋常小学校から旧制岡崎中学を経て、旧制第八高等学校を卒業しました。その後、京都帝国大学理学部で植物学を学び、1947年に卒業しました。続いて、京都大学農学部で副手や助手として研究を行い、木原均の遺伝学研究室に所属しました。

1949年には国立遺伝学研究所に入所し、長年にわたりここで研究を続けました。教授を経て名誉[[教授]]に就任し、日本遺伝学会の会長なども歴任しました。

中立進化説の提唱

木村は1950年代から1960年代初頭にかけて進化総合説を信奉していましたが、1953年から1954年にかけてアイオワ州立大学とウィスコンシン大学に留学し、集団遺伝学を学ぶ中で新たな理論を模索しました。1968年には「分子進化の中立説」を発表し、これはダーウィン的な適者生存のみならず、時には生存に有利でも不利でもない中立的な変化が進化に寄与することを示しました。

この理論は発表当初、多くの批判を受けましたが、次第に広く受け入れられるようになり、現代の進化論の一部として認識されています。

受賞歴と栄典

木村はその業績により、多くの賞を受賞しています。1957年には日本遺伝学会賞、1968年に日本学士院賞を受賞。1987年には朝日賞とジョン・カーティー賞、1992年には名誉あるダーウィン・メダルを受け取りました。1976年には文化勲章を受章し、文化功労者としても認められています。

また、彼は岡崎市の名誉市民としても栄誉を受け、その功績が地元でも称えられています。

晩年と死

木村は晩年に筋萎縮性側索硬化症を患い、1994年の誕生日に自宅で転倒して頭部を強打しました。結果として頭蓋内出血を起こし、同年内に亡くなりました。彼の死去は、日本の科学界にとって大きな損失でした。

主な著書

木村資生は多くの著書も手掛けており、中でも『集団遺伝学概論』（1960年）は中立説の発表前の重要な著書として評価されています。1986年には「分子進化の中立説」（原書は1983年に発表）を刊行し、進化論に関する研究を進めました。1988年の『生物進化を考える』は、進化論と中立説に関する入門書として広く読まれています。

進化学振興木村資生基金

彼の業績を称えるため、2004年にはスズキ株式会社の寄付により「進化学振興木村資生基金」が設立されました。この基金は木村賞を授与することで、次世代の研究者を支援しています。

木村資生の業績は、今もなお進化学の基盤として多大な影響を与えています。

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