本多忠民

本多忠民：江戸後期を支えた岡崎藩主

本多忠民（ほんだ ただもと）は、江戸時代後期に活躍した大名であり、老中を務めた人物です。三河国岡崎藩の藩主として、忠勝系本多家宗家の15代目を継承しました。その官位は従四位下・侍従にまで昇り、上総介、中務大輔、美濃守といった官職を歴任しました。

生涯

文化14年（1817年）に、讃岐国高松藩主・松平頼儀の四男として生まれました。その後、岡崎藩主・本多忠考の婿養子となり、天保6年（1835年）には第11代将軍・徳川家斉に拝謁しました。同年、忠考の隠居により家督を継ぎ、岡崎藩主となりました。同年12月には従五位下中務大輔に叙任されています。

弘化3年（1846年）には寺社奉行に任命され、幕政に参画しました。安政4年（1857年）には京都所司代に転任し、朝廷との交渉役として、特に条約締結問題において朝廷と幕府の間を奔走しました。万延元年（1860年）からは老中を務め、幕政の中枢を担いました。元治元年（1864年）に老中再任の命が下った際には、一旦は固辞しましたが、最終的には就任しています。戊辰戦争においては、岡崎藩を恭順へと導き、戦火を避けることに貢献しました。

明治2年（1869年）に隠居し、家督を婿養子の忠直に譲りました。明治16年（1883年）に67歳で亡くなっています。

年表

1817年（文化14年）：生誕
1835年（天保6年）：岡崎藩襲封
1846年（弘化3年）：寺社奉行
1857年（安政4年）：京都所司代
1858年（安政5年）：所司代を辞任、溜詰格
1860年（万延元年）：老中に就任
1862年（文久2年）：辞任
1864年（元治元年）：老中再任、老中首座
1865年（元治2年）：辞任
1869年（明治2年）：隠居
1883年（明治16年）：死去

系譜

実父：松平頼儀
養父：本多忠考
正室：本多忠考の娘
子女：久、貞操院（本多忠直正室）
養子：本多忠肇（本多忠鄰の四男）、本多忠直（牧野康哉の五男）

本多忠民は、激動の幕末期において、岡崎藩主として、また幕府の重臣として、その手腕を発揮しました。朝廷との関係、外国との条約問題、国内の政治情勢など、数々の難題に立ち向かい、岡崎藩の存続と発展に尽力しました。彼の功績は、現代においても高く評価されています。

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