本多政長 (加賀本多家)

本多政長の生涯

本多政長（ほんだ まさなが）は、寛永8年8月21日（1631年9月17日）に加賀藩の家老本多政重の四男として生まれました。政長の幼名は長松で、通称は左馬助、安房と称されていました。彼は後に加賀八家の本多家の第2代当主となり、官位は従五位下安房守を任されました。また、正室には前田利常の娘、春姫を迎えたことで、氏族間の絆を強めることとなります。

政長は嫡男としての運命を担うことになり、1647年に父の隠居により家督を相続しました。しかし、慶安元年（1648年）には父の重臣であった本多兵庫が突然切腹を命じられるという、波乱の幕が上がります。この出来事は前田家による徳川系本多氏に対する反発と考えられています。政長は、この状況の中で様々な困難に直面しました。

さらに慶安3年には、正室の春姫が死去し、政長の心に重くのしかかりました。慶安5年（1652年）には江戸城で将軍徳川家光と対面し、当時の政治情勢を学ぶ機会を得ます。政長が鷹狩をしていた1653年には、富山藩士とのトラブルが発生し、事態を収拾するために家老を切腹させるという苦しい選択を強いられたのも彼の一生における重要な事件です。

万治元年（1658年）には江戸城修復の役を担い、同年には紀州藩主徳川頼宣との関係を深めることとなりました。彼の才を認められ、これによりさらなるネットワークを築くことができました。政長はまた、寛文11年（1671年）には自身の菩提寺である大乗寺に月舟宗胡を迎え入れ、宗教面でも重要な役割を果たしています。

政長は貞享5年（1688年）には大年寄（大老）となり、元禄4年（1691年）には父の名誉を受け継いで、前田家の陪臣として従五位下安房守の官位を受けました。彼は元禄14年（1701年）に隠居し、家督を嫡男政敏に譲りました。

彼の次男政孝は幕府の証人として活躍しますが、15歳で早世しました。三男の政則や四男の政冬は家臣として仕え、五男の政寛は父から受け継いだ隠居料3000石で分家し、六男の甚之助は八幡新善法寺の住職となるなど、息子たちもそれぞれの道を歩みました。

また、政長は茶道にも深い関わりを持ち、茶道宗和流の金森方氏の門人として知られています。方氏の父宗和とのつながりで、野々村仁清作の御室焼を手に入れる仲介を行いました。

宝永5年（1708年）8月に享年78で亡くなった政長は、波乱に満ちた生涯の中で数々の業績と人脈を残しました。彼の名声は加賀藩においても広く知られることとなり、彼の家族や弟子たちにも影響を与えました。彼の人生は、当時の戦国時代を物語る一つの象徴と言えるでしょう。

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