本多正意

本多正意

本多正意（ほんだ まさおき）は、江戸時代後期の駿河田中藩の第5代藩主であり、江戸幕府の若年寄を務めた人物です。正重系本多家10代当主にあたります。

生い立ちと藩主就任

天明4年（1784年）に、先代藩主である本多正温と正室の間に生まれた子ではありませんでした。正温は正室と離婚しますが、その時すでに正室は正意を身ごもっていたのです。そのため、正室は実家に戻り正意を出産。後に、正温はこれを知り、正意を嫡男として迎え入れました。

寛政12年（1800年）に、父・正温が田中騒動の責任を取り隠居したため、家督を継ぎました。同年12月には従五位下・豊前守に叙任されました。

藩政と文化振興

正意は、藩政においては小野成誠や石井縄斉といった有能な人材を登用し、文武の奨励に力を入れました。特に、藩士の江戸留学を積極的に推進し、経済的に困難な者には奨学金のような支援制度を設けるなど、人材育成に注力しました。

また、文化面では化政期において俳諧が隆盛し、「花のさち」などの作品が刊行されるなど、田中藩の文化が最も栄えた時代を築きました。

百姓一揆と晩年

しかし、文化13年（1816年）には、増田五郎右衛門を指導者とする百姓一揆が発生します。この一揆に対し、正意は増田を処刑する一方、百姓側の要求を一部受け入れざるを得ない状況となりました。

文政5年（1822年）には寺社奉行に任じられ、文政8年（1825年）には若年寄に昇進し、遠江守に遷任しました。しかし、文政12年（1829年）5月27日に46歳で死去しました。跡は長男の正寛が継ぎました。

系譜

父母

父：本多正温
母：数（永井直珍の娘）

正室

光（戸田忠翰の娘）

側室

とし
花井（金沢氏）

子女

本多正寛（長男）：生母は光（正室）
管沼正貞（次男）
本多正訥（七男）
米津田政室
堀田某室
玉虫某室

養女

クマ：板倉勝職継々室、黒田直方の娘

本多正意は、藩主として文化の発展に貢献する一方で、百姓一揆という困難にも直面しました。その生涯は、江戸時代後期の藩主の姿を象徴するものと言えるでしょう。

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