道興

道興の生涯と業績

道興（どうこう、1430年 - 1527年）は、室町時代の著名な僧侶であり、聖護院門跡としての地位を有していました。彼は関白近衛房嗣の子であり、兄弟には有名な近衛教基や近衛政家、さらには他の政治的にも重要な役割を担った人物がいました。道興は幼少期から出家し、聖護院満意の弟子となりますが、その後の運命に対していくつかの困難に直面しました。

道興は生まれて早い段階で出家し、彼の師である満意からの影響を受け、聖護院の後継者として期待されていました。しかし、当時の室町幕府は将軍足利義教の子である義観を聖護院の後継に指定する申し入れを行い、道興はこの結果として一時的に聖護院から追放され、如意寺に送られることになりました。彼はその後、文安4年（1447年）に如意寺での継承のために満意からの伝法灌頂を受けることになります。

しかし、義観がわずか数年後に隠居し、足利義政が新たに政瑜を後継に推す中で、若干13歳の政瑜の代わりに道興が中継ぎとして聖護院を継承することが決定しました。寛正6年（1465年）には准后の宣下を受け、道興准后と呼ばれるようになり、また、園城寺の長吏や熊野三山の検校としての地位にも就きました。道興の立場は一時的に安定したかに見えましたが、応仁の乱が発生することで彼の運命は再び揺らぎます。

応仁の乱では、武将足利義政とその弟義視との間で仲介役を果たしましたが、これが逆に彼に対する疑念を招くこととなります。文明8年（1476年）には聖護院門跡を政瑜に譲渡しなければならず、道興は美濃国へと亡命します。しかし、その後政瑜が急死すると、道興の復帰を求める声が高まり、文明11年（1479年）には義政が彼の赦免と聖護院門跡の復帰を命じました。

道興は聖護院へ復帰した後、聖護院末寺の掌握を図り、文明18年から19年（1486–87年）にかけて東国への巡礼を行いました。この旅は彼の紀行文『廻国雑記』としてまとめられ、彼の体験や出会いが記録されています。

道興はその後も宗教的な役割を果たしながら、室町時代の僧侶として歴史に名を刻むこととなります。彼の生涯は、出家からの困難な道のりや、政治的な背景を背景にした影響力を考える上で非常に興味深いものです。

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