本庄実乃

本庄実乃

本庄実乃（ほんじょう さねより）は、日本の戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将です。越後国（現在の新潟県）を本拠とした戦国大名、長尾氏（後に上杉氏と改称）に仕え、古志郡の要衝である栃尾城の城主を務めました。別称として本庄慶秀とも呼ばれます。

上杉謙信（長尾景虎）との関係

実乃は、長尾晴景の時代から長尾家に仕えていましたが、その後の家督を継ぐことになる、まだ幼かった長尾景虎（後の上杉謙信）の非凡な器量を早期に見抜いた人物として知られています。早くから景虎を自らの居城である栃尾城に迎え入れ、その育成に深く関わりました。景虎が14歳で病弱な兄・晴景に代わり、越後国内の国人衆の反乱鎮圧のため出陣した際には、実乃はその補佐役として従軍し、見事な采配で功績を挙げたと伝えられています。また、若き日の景虎に軍学を教授した師でもあったとされており、稀代の武将としての謙信の形成に多大な影響を与えた人物であると言われています。

上杉家中での地位と活躍

上杉謙信からの信任は非常に厚く、直江景綱らと共に謙信の最も重要な側近の一人として位置づけられていました。奉行職として政務に関与し、また戦場においては七手組大将の一人として軍を率いるなど、家中において絶大な権力を持ち、その意見は重んじられました。軍事面では、永禄4年（1561年）に発生した第四次川中島の戦いなど、上杉謙信が指揮を執る主要な合戦の多くに参戦し、武功を立てたとされています。

家中騒動への関与

弘治2年（1556年）に起こった、後に「出家騒動」として知られる上杉家中の内紛においては、実乃も中心的な人物の一人となりました。この騒動は、家臣である下平吉長と上野家成の間に生じた領地争いが発端となり、実乃が上野家成に、家中随一の武将であった大熊朝秀が下平吉長に加担したことで、家中が実乃派と大熊派に二分される激しい派閥対立へと発展しました。両者の対立は武力衝突にまで発展し、事態は越後国内に収まらず、武田氏や蘆名氏といった外部勢力まで巻き込む大規模な騒乱となります。この状況を憂慮した景虎は、一時春日山城を出奔し、出家を宣言するに至りました。しかし、最終的には上野家成が蘆名氏の加勢を得た大熊朝秀の軍勢を破り、また家臣団一同が景虎に対して「今後は慎んで臣従し、二心を抱かない」旨を誓う起請文を提出したことで、騒動は収束しました。この騒動に敗れた大熊朝秀は、その後武田信玄のもとへ出奔し、武田家で重用されることとなります。

没年に関する諸説

本庄実乃の正確な没年については、複数の説が存在します。一般的には天正3年（1575年）に亡くなったとされていますが、これ以後も存命していたとする説もあり、天正6年（1578年）に主君である上杉謙信が死去した際に、その後を追って殉死したとする伝承も存在しています。

登場作品

本庄実乃は、その主君である上杉謙信が登場する歴史作品、特に越後を舞台とした作品において描かれることがあります。NHK大河ドラマでは、1969年放送の『天と地と』で内藤武敏氏、1988年放送の『武田信玄』で門田俊一氏、2007年放送の『風林火山』で木村元氏がそれぞれ実乃役を演じています。これらの作品を通じて、謙信の側近として彼を支えた姿が描かれています。

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