上野家成

上野 家成

上野 家成（うえの いえなり）は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将です。越後国の国人出身で、魚沼郡妻有郷の節黒城を居城とし、上杉氏の有力な家臣として仕えました。

出自

家成の出自については、清和源氏の新田氏、その中の里見流を祖とする家系であると伝えられています。上野氏が越後の地でどのように勢力を築いたかは定かではありませんが、国人領主として一定の基盤を持っていたことがうかがえます。

略歴

上野家成の活動が史料に現れるのは、弘治2年（1556年）に越後国内で発生した混乱の時期でした。この頃、越後では下平吉長と上田の間で領地を巡る争いが勃発。この対立に、上杉家の重臣である本庄実乃と大熊朝秀がそれぞれ関与し、本庄実乃は家成を、大熊朝秀は下平を支持しました。日頃から家政を取り仕切る立場にあった本庄と大熊の間には対立関係があり、これが家臣団全体の深刻な派閥争いへと発展します。このような内紛に加え、越後国内の国人たちの離反、さらに甲斐国の武田信玄との戦線が行き詰まるなど、多くの難題を抱えた状況に長尾景虎（後の上杉謙信）は政治への意欲を失い、春日山城を出て高野山へ向かおうとしました。これが、世に言う「出家騒動」です。

この騒動による混乱に乗じて、大熊朝秀らは密かに武田氏と連絡を取り、反乱を起こしました。会津の蘆名盛氏もこの動きに同調します。同年8月23日、反乱を起こした大熊朝秀は、越中の一向一揆勢を率いて越後国境を越えて侵攻しました。長尾景虎は、この鎮圧のために上野家成と庄田定賢らを派遣しました。家成らは、数では勝る大熊軍に対し、西頸城郡駒帰の地で激戦を繰り広げ、見事にこれを打ち破りました。大熊軍は越中へと敗走することになります。この戦いの後、大熊朝秀は上杉氏のもとを離れ、武田氏の陣営に加わりました。上野家成は、この越後にとって危機的な状況を救った功労者の一人として評価できます。

元亀元年（1570年）、上杉氏と後北条氏の間で越相同盟が締結される際には、家成は河田重親らと共に後北条氏との交渉役を務め、重要な外交舞台でもその手腕を発揮しました。

天正6年（1578年）、上杉謙信の死後に後継者を巡って勃発した御館の乱においては、家成は上杉景勝を支持する側に立ちました。景勝方が優位を確立するまでの間、家成は上野国利根郡の沼田城を守る任にあたり、堅固な守りを固めたと伝えられています。

慶長3年（1598年）、豊臣秀吉の命により、上杉景勝は越後から会津若松へ移封されることとなりました。多くの将兵が主君に従って越後を離れ会津へ移り住む中、上野家成は旧領である越後に留まる選択をしました。

慶長6年（1601年）、関ヶ原の戦いにおいて西軍に味方した上杉景勝は、敗戦に乗じて旧領である越後の併合を試みました（上杉遺民一揆）。家成もこの動きに同調し、上杉方として一揆の扇動に加わりましたが、西軍の敗北が決定したため、上杉氏はこの計画を断念せざるを得ませんでした。この戦いの後、上杉氏は大幅な減封を受け、出羽国米沢へ移されることになります。これに伴い、越後に留まっていた上野家成もまた、米沢へと移り住んだとされています。

また、上杉謙信の没後間もなく、上野国沼田城の城代を務めていた家成は、領内の寺院に主君謙信の供養塔を建立しました。この供養塔は、後に場所を移されましたが、現在も利根郡みなかみ町の如意寺に存在しており、家成の主君に対する深い忠誠心を示すものとして伝えられています。

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