本棟造

本棟造（ほんむねづくり）についての詳細

本棟造は、長野県の中信地方から南信地方にかけて見られるユニークな民家の形態です。この建築様式は、切妻造りの妻入り（つまいり）で、屋根の勾配は緩やか。特徴として、雀おどしと呼ばれる装飾が施されていたり、正方形に近い間取りが挙げられます。また、代表的な例として、重要文化財に指定されている堀内家住宅や馬場家住宅が存在します。

定義

本棟造の厳密な定義は存在しないものの、太田博太郎はその特徴を以下のように説明しています。

• - 切妻造りの妻入りである
• - 緩い勾配の板屋根がある
• - 梁間が広く、平面全体は正方形形状に近い
• - 間取りには通り土間があり、上部は二列に6室以上の部屋があるため、中心に暗い部屋ができること

ただし、地元の人々の中には、雀おどしと呼ばれる飾りが付いていない、もしくは規模が小さい住宅については、この特徴を満たしていても本棟造に該当しないと考える方が多いようです。

歴史

本棟造の歴史を振り返ると、まず整った形のものとして長野県塩尻市片丘に位置する嶋﨑家住宅（重要文化財）が挙げられます。これは享保年間（1716年 - 1736年）に建てられたもので、本棟造の最古形態の一つです。また、長野県安曇野市穂高有明にある曽根原家住宅（重要文化財）は、17世紀中頃に築かれているとされています。

本棟造が現在のような外観になったのは、江戸時代の末期から明治初頭にかけてと考えられています。その後、明治末期以降は新たに建てられることは少なくなりましたが、第二次世界大戦後には再び、このスタイルの住宅が建設されるようになりました。特に、戦後に建てられた本棟造清は「新本棟造り」と呼ばれ、古いものと区別されることもあります。

また、時代的な傾向として、新しい本棟造は古いタイプに比べて屋根の傾斜が急になることが多く、これは二階の使用目的の変化に影響されていると考えられます。

参考リンク

• - 『本棟造』 - コトバンク
• - 「長野県内における本棟造りの分布について知りたい。」 - レファレンス協同データベース

本棟造は、その独特な様式と文化的な重要性により、長野県の歴史を感じる貴重な建築物と言えるでしょう。

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