馬場家住宅

馬場家住宅について

馬場家住宅は、長野県松本市内田に位置する、江戸時代に建てられた由緒ある民家です。現在は松本市立博物館の分館として一般公開されており、その歴史的価値から、国の重要文化財に指定されています。

歴史

馬場家の歴史は、戦国時代にまで遡ります。伝承によれば、武田信玄の家臣であった馬場美濃守信春の縁者、馬場亮政が、武田氏滅亡後の天正10年（1582年）にこの地を開拓し、住宅の前身を築いたとされています。江戸時代には、広大な田畑を所有し農業を営む一方で、地域の領主である諏訪高島藩藩主と親密な関係を築き、特別な地位を確立しました。

屋敷は「古屋敷」と呼ばれ、西側には長屋を伴う表門と塀が、北側と東側は土塁で囲まれています。屋敷の中央には主屋が位置し、周囲には中門、文庫蔵、奥蔵、隠居屋、茶室、旧馬屋など、当時の生活様式を伝える多様な建物が配置されています。現在、敷地と建物の約半分は第16代当主によって松本市に寄贈され、主屋、文庫蔵、門長屋、旧馬屋が公開されています。

また、特筆すべきは、先代の15代当主がメキシコの日本人移民を救済した外交官・馬場称徳であったこと、そして、その実弟が海軍火薬廠廠長を務めた松岡俶躬であったことです。この事実は、馬場家が単なる地元の名家にとどまらず、社会的に大きな影響力を持っていたことを示しています。

文化財

馬場家住宅は、以下の文化財指定を受けています。

国の重要文化財
主屋：嘉永4年（1851年）築。切妻造り平入、鉄板葺き。長野県南西部に特徴的な本棟造りの建築様式です。
表門及び左右長屋：安政6年（1859年）築。
中門：安政6年（1859年）築。
文庫蔵：弘化2年（1845年）築。
隠居屋：元治元年（1864年）築。
奥蔵：元治元年（1864年）築。
土地：宅地、畑、山林、墓地を含み、総面積は12,297.24m²。茶室、祝殿、土塁、竹垣、井戸なども含まれます。

松本市指定重要文化財
旧馬屋：江戸時代末期の建築。

アクセス

鉄道・バス: JR篠ノ井線松本駅下車後、松本バスターミナルより松本電鉄バス内田線倉村行き（平日のみ）に乗車し、「馬場家住宅東」で下車、西へ徒歩すぐ。
バス: 松本バスターミナルより松本電鉄バス寿台線または松原線に乗車し、「寿台東口」で下車、南へ徒歩約20分。

関連情報

松本市の名所・旧跡
松本市の歴史

参考文献

『メキシコの月 信州の月』（郷土出版社、2004年）

外部リンク

馬場屋敷
馬場家住宅 - 松本市
馬場家住宅 - 新まつもと物語

馬場家住宅は、江戸時代の民家建築を今に伝える貴重な文化遺産であり、その歴史的、建築的な価値は非常に高いと言えるでしょう。訪れることで、当時の生活様式や文化に触れ、歴史への理解を深めることができます。

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