本牧市民公園

本牧市民公園（ほんもくしみんこうえん）

神奈川県横浜市中区本牧に広がる本牧市民公園は、海面の埋立工事を経てその土地が造成された後、1969年（昭和44年）に市民の憩いの場として開園しました。広々とした敷地内には、異国情緒あふれる庭園や産業遺産、歴史的な建造物などが点在し、訪れる人々に多様な魅力を提供しています。

主な見どころと施設

上海横浜友好園

公園のランドマークの一つである上海横浜友好園は、1989年（平成元年）に横浜市と友好都市提携を結ぶ上海市から寄贈されたものです。この庭園は、上海の有名な庭園である豫園をはじめとする中国江南地方の伝統的な庭園様式を忠実に再現しており、池を中心とした美しい水景が特徴です。池には九曲橋（曲がりくねった橋）、湖心亭、玉蘭庁といった建物が配され、まるで水面に浮かんでいるかのような風情を醸し出しています。特に夏には、池一面に蓮の花が咲き誇り、訪れる人々を魅了します。かつては建物の老朽化により立ち入りが制限されていましたが、改修工事を経て2021年7月26日にリニューアルオープンし、再びその内部も見学できるようになりました。この友好園は、国の名勝にも指定されている三溪園の南門を出てすぐの場所に位置しており、両園を合わせて散策するのもおすすめです。

とんぼ池

公園の一角にあるとんぼ池は、自然が感じられる静かな水辺です。夏には美しい睡蓮が水面を飾り、とんぼなどの生き物も多く見られます。この池は、その環境が評価され、「本牧市民公園トンボ池」として平成7年度に国土交通省の手づくり郷土賞（自然部門）を受賞しています。

蒸気機関車（D51 516）、転車台、鉄道貨車衡機

公園内には、かつて日本の物流を支えた国鉄D51形蒸気機関車（D51 516）が、転車台、そして鉄道貨車衡機（重量計）と共に静態保存されています。この機関車は、かつて国鉄高島線の高島貨物駅にあった機関区で活躍していた車両です。興味深いことに、機関車の炭水車（燃料や水などを積む部分）は、隣接する運動公園のスプリンクラー用の受水槽として現在も活用されています。そのため、炭水車の上部には安全対策として金網や有刺鉄線が設置されています。

八聖殿（横浜市八聖殿郷土資料館）

本牧市民公園に隣接する本牧臨海公園側ですが、公園の一部として認識されている八聖殿は、独特な歴史を持つ建造物です。大正から昭和初期にかけて活躍した政治家である安達謙蔵（1864〜1948）が、奈良の法隆寺にある夢殿を模倣して1933年（昭和8年）に建立しました。当初は、キリスト、ソクラテス、孔子、釈迦、聖徳太子、空海、親鸞、日蓮という東西の八聖人を祀るための廟として建てられましたが、現在は横浜市八聖殿郷土資料館として利用されています。かつて漁村であったこの地域の歴史や文化を伝えるため、漁具などの民俗資料が展示されており、地域の歴史を知る貴重な施設となっています。

その他にも、公園内にはテニスコートやギャラリーなども整備されており、様々な目的で訪れる人々に対応しています。

周辺施設との連携

本牧市民公園は、歴史的な日本庭園である三溪園や、広大な敷地を持つ本牧臨海公園に隣接しています。特に三溪園とは密接な位置関係にあり、両園を巡る散策ルートも人気です。また、近くには市民プールも再整備され、2023年7月にリニューアルオープンしました。

このように、本牧市民公園は、美しい自然環境、歴史的な建造物、文化的な施設、そしてスポーツ施設まで備え、周辺の公園とも連携しながら、市民にとって多様なレクリエーションと憩いの機会を提供する重要な都市公園となっています。

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