本覚寺 (高山市)

本覚寺の概要と歴史

本覚寺（ほんかくじ）は、岐阜県高山市上宝町本郷に位置する、釈迦如来を本尊とする臨済宗妙心寺派の寺院です。この寺院は、飛騨地方の名族である江馬氏と深い関係があり、播隆上人による笠ヶ岳の再興にも関与した重要な場所となっています。また、本覚寺は「飛騨三十三観音霊場」の24番札所としても知られています。

山号と意味

本覚寺の山号は高原山で、「本覚」という言葉は仏教用語の一つで、衆生が本来持っている清らかな性質を表しています。この考えは、すべてのものが真実に満ちており、妄想を超えた「覚知の性徳」をもっていることを意味します。仏教の教えに則って、信者たちはこの深い教えに基づいて心の浄化を目指しています。

寺院の歴史

本覚寺の創建は不明ですが、天台宗寺院であった荘厳寺が鎌倉時代の文永年間に江馬輝経の子、江馬朝方によって再興されたことが記録に残っています。その際に江馬時信が僧として迎えられ、本閣寺と名付けられました。その後、寺号は本覚寺に改められ、現在に至ります。

天正13年（1585年）には富山の役に伴い、佐々成政の軍によって寺院は焼失してしまいましたが、寛永年間に国泰寺の松巌和尚のもとで再興され、臨済宗に改宗されることになりました。

安永年間には、13世魯峰和尚により石垣などの整備が行われ、この時期に発生した大原騒動に関連する供養塔が建立されました。この騒動の指導者であった本郷村の善九郎の墓や、騒動の犠牲者たちを祀る寒念佛供養塔もこの時に設けられました。

また、天明年間には嶺州和尚が南裔和尚と北州和尚と共に笠ヶ岳に登り、文政6年（1823年）には椿宗和尚が播隆上人の再興活動を支援しました。その後も、播隆上人の笠ヶ岳に関連する事業に協力する僧侶たちが現れ、多くの資料が本覚寺に保存されるようになりました。特に、笠ヶ岳登頂に関する資料として『迦多賀嶽再興記』や『迦多賀嶽再興勧化張』が所蔵されています。

文化財と寺宝

本覚寺には歴史的文化財があります。特に石垣および寒念佛供養塔は高山市の文化財に指定されています。また、境内には樹齢の高い銀杏の大木がそびえ立っており、高山市の天然記念物に指定されています。この銀杏はその樹高が22メートルを超え、多くの訪れる人々を魅了しています。

さらに、寺宝としては、先述の笠ヶ岳登頂に関する資料だけでなく、円空作の地蔵菩薩像も重要な文化遺産とされています。これらの寺宝は本覚寺の歴史と宗教的意義を物語る貴重な存在であり、訪れる参拝者に大きな感銘を与え続けています。

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