札幌抗争

札幌抗争

札幌抗争は、平成元年（1989年）9月27日に北海道札幌市で発生した、五代目山口組と稲川会との間で発生した暴力団抗争事件です。

勃発の経緯

1989年9月26日深夜、札幌市すすきのの路上で、五代目山口組系誠友会組員と稲川会系越路家一家組員との間で些細な喧嘩が発生しました。この事件が、後に大規模な抗争へと発展する引き金となります。

抗争の激化

翌9月27日午前2時50分頃、稲川会系越路家一家の組事務所に対し、何者かによって銃弾4発が撃ち込まれました。これに対し、同年午前3時50分頃には、山口組誠友会の組事務所にも銃弾が撃ち込まれるという報復行為が発生。事態を重く見た北海道警察は、午前9時に札幌方面中央警察署に捜査本部を設置、1200人もの警察官を動員して捜査に乗り出しました。

その後も抗争は激化の一途をたどり、同日午後までに誠友会は越路家一家系の組事務所9箇所に計27発の銃弾を撃ち込みました。一方、越路家一家も誠友会系の組事務所4箇所に計16発の銃弾を撃ち込むなど、両組織間で激しい応酬が繰り広げられました。

山口組上層部の介入と抗争終結

事態を重く見た山口組幹部は、北海道での誠友会と越路家一家との抗争事件を知ると、即座に石間春夫に対し抗争中止を通達しました。この背景には、渡辺芳則が山口組五代目を襲名する際、後見人が稲川会・稲川聖城総裁、取持人が稲川会・石井隆匡二代目会長、奔走人が稲川会・稲川裕紘理事長であったという事情がありました。つまり、山口組と稲川会の間には密接な関係があり、抗争の長期化は組織全体にとって不利益となると判断されたのです。

同日午後、山口組若頭補佐・黒誠会会長の前田和男が石間春夫のもとを訪れ、越路家一家との抗争を即時中止するよう口頭で指示。これにより、五代目山口組と稲川会との間で繰り広げられた一連の抗争は終結を迎えました。

札幌抗争は、暴力団組織間の抗争が社会に与える影響の大きさを改めて認識させるとともに、組織間の複雑な関係性が抗争の終結に影響を与えることを示す事例となりました。

参考文献

飯干晃一 『ネオ山口組の野望』角川書店＜角川文庫＞、1994年、ISBN 4-04-146436-6 のP.193～P.195

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