朱亮祖

朱亮祖（しゅ りょうそ）：波乱に満ちた生涯を送った明初の武将

朱亮祖は、元末から明初にかけて活躍した武将です。その生涯は、勇猛果敢な戦いぶりと、不法な行いによる悲劇的な結末という、両極端な側面を持っていました。

元朝での始まりと朱元璋との出会い

朱亮祖は、元朝で義兵元帥として活動していました。1357年、朱元璋が寧国を攻略した際に捕らえられます。しかし、その武勇を見込まれ、朱元璋から金幣を賜り、元の役職のまま任用されました。ところが、数ヶ月後には朱元璋に反旗を翻し、元に復帰。朱元璋の軍勢を破り、6000人以上を捕らえて宣城に拠ります。この時、朱亮祖は常遇春を負傷させるほどの奮戦ぶりを見せました。朱元璋自身が督戦に赴き、朱亮祖を捕らえましたが、その勇ましさに感銘を受け、釈放しました。この出来事が、朱亮祖が明朝に仕えるきっかけとなりました。

明朝での活躍

朱元璋の下で功績を重ねた朱亮祖は、枢密院判に任じられ、陳友諒との戦いでは南昌や九江の攻略に貢献。鄱陽湖の戦いにも参戦し、武昌を攻略するなど、数々の戦いでその武勇を発揮しました。その後、広信衛指揮使に進み、李文忠の勝利に乗じて敵陣を焼き払い、多くの敵兵を捕虜にするなどの活躍を見せました。

1365年には、胡深と合流して陳友定を攻め、鉛山から浦城を奪取し、さらに崇安や建陽を攻略。浙江方面では、桐廬を攻撃し、余杭を包囲しました。浙江行省参政に転じ、李文忠を補佐して杭州を守備。1367年には、水陸両軍を率いて方国瑛を討伐し、天台を下し、台州に進攻。方国瑛を追撃して降伏させ、温州を攻略。その勢いはとどまることを知らず、方国瑛と方明善を降伏させ、浙江方面の平定に大きく貢献しました。

1368年には、廖永忠の副将として海上から広東を攻略し、何真を降伏させました。広東を平定後、さらに進軍して広西を平定し、その戦功は目覚ましいものでした。南京に凱旋した際には、太子朱標に手厚く迎えられ、その功績を称えられました。1370年には、永嘉侯に封じられ、世襲の権利も与えられました。

夏への攻撃と晩年

1371年、夏を攻撃した際には、征虜右副将軍として成都に進軍。明昇がすでに降伏していたため、帰順していない州県を平定しました。南京に凱旋しましたが、軍校を勝手に殺害したとして、褒賞は受けられませんでした。その後、傅友徳と共に北平に駐屯し、南京に召還されてからは李善長と共に屯田を監督管理しました。1379年には広東に駐屯しました。

不法行為と悲劇的な最期

朱亮祖は勇猛で戦に長けていましたが、学問を好まず、不法な行いが多かったとされています。番禺知県の道同が朱亮祖の不法を訴えた際、彼は逆に道同を誣告し、処刑させてしまいます。このことを知った洪武帝は、1380年9月に朱亮祖を呼び出し、子の朱暹と共に鞭打って処刑しました。侯の礼をもって葬られましたが、後に胡惟庸の党であったとされ、その評価は大きく揺れ動きました。


朱亮祖の生涯は、その武勇と功績にもかかわらず、不法な行いによって悲劇的な結末を迎えました。明朝の初期において、彼のような武将が果たした役割は大きかったものの、その晩年は、権力を持つ者の驕りや慢心がもたらす危険性を示唆する教訓として、後世に語り継がれています。

子女

朱暹（府軍衛指揮使、父とともに刑死）
朱昱（次男、1390年に胡惟庸の獄にかかって処刑）

参考文献

* 『明史』巻132 列伝第20

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