朴珪寿

朴珪寿の生涯と業績

朴珪寿（パク・キュス、ぼく けいじゅ）は、1807年に生まれ、1877年に亡くなった李氏朝鮮末期の著名な政治家です。彼の本名は珪鶴であり、字は桓卿・鼎卿、号は瓛斎。出身は潘南朴氏で、祖父は朝鮮王朝後期の実学を代表する学者、朴趾源です。彼の生涯は、朝鮮の変革期を反映したものであり、国際的な視野を持つ政治活動が特徴です。

初期の経歴と教育

朴は1807年、著名な学者の家系に生まれました。彼の父親、朴宗采の影響を受け、早くから優れた教育を受け、1848年には科挙に合格し官僚の道に進むことになります。彼の教育的背景は、後の彼の政治哲学に大きな影響を与えたと考えられています。

政治活動と外交

1866年には平安道観察使として、ゼネラル・シャーマン号事件に対処し、同船の焼き討ちを指揮しました。彼はまた、1871年の辛未洋擾では、興宣大院君政権の廟議に従い、清とアメリカに対して「攘夷」を正当化する文書の起草に関与しました。これらの活動は、彼が持つ国家の独立と不平等条約からの解放への強い願望を示しています。

しかし、朴自身は柔軟な国際政策を重んじ、主和論・開国論者として知られています。彼の弟子である金允植によれば、朴はアメリカと条約を結び、「孤立の患」を避けるべきだと考えていました。

日朝関係の回復と影響

1873年に大院君が失脚すると、朴は明治維新後の日本との国交回復を強く推進しました。特に「皇」や「勅」といった書契の文字が問題視された際には、日本側の「自尊自称」の問題として文書を受け入れ、交渉を再開するよう求める主張を展開しました。1874年には右議政を辞任し、1875年の江華島事件後には対日修好条規の締結を支持し、武力衝突の回避を図るための条約締結の重要性を強調しました。

西洋認識と思想

朴珪寿の西洋に対する理解は、1861年と1872年の燕行使としての清訪問を通じて深まったものでした。この経験は彼にとっての外交戦略において重要な基盤を形成しました。彼の自宅は少壮官僚らによる実学思想を学ぶ場として機能し、金玉均、朴泳孝、洪英植、徐光範といった後の開化派の政治家たちに多大な影響を与えました。朋党政治においては老論派に属し、彼の思想は次代の改革者たちの指針となりました。

著作と遺産

朴珪寿の考えや著作は『瓛斎集』としてまとめられています。彼の思想は、朝鮮の近代化への道を切り開くための重要な指針となり、多くの後進に影響を与えました。彼の生涯における活動や著作は、朝鮮の歴史における重要な一ページを形成しています。

参考文献

• - 姜在彦『新訂朝鮮近代史』（平凡社、1994年）
• - 姜在彦『朝鮮と西洋』（文藝春秋、2001年）
• - 姜在彦『朝鮮儒教の二千年』（朝日新聞社、2001年）
• - 「アジア人物史 9」（集英社、2024年）

もう一度検索