朽木氏秀

朽木氏秀は、南北朝時代に活躍した武将です。

正平23年/応安元年（1368年）8月、六角氏頼より近江国高島本庄後一条の地頭職を安堵されました。これは、当時の有力守護大名であった六角氏の庇護下に入り、地域における一定の権益を認められたことを意味します。しかし、その後の氏秀は、必ずしも順風満帆ではありませんでした。

応安5年（1372年）には、越中国岡成名などを弟の氏綱から譲られましたが、実際に知行することはありませんでした。このため、朽木氏の惣領家の地位は弟の氏綱に移ることになります。一族内における勢力争いがあったのか、あるいは氏秀自身に別の意図があったのか、詳細は不明です。

建徳2年/応安4年（1371年）には、河内国で蜂起した南朝方の追討に参加しました。これは、北朝方として南朝勢力の鎮圧に貢献したことを示しています。南北朝時代は、全国各地で北朝と南朝の勢力が入り乱れて争っており、氏秀もその戦乱の中で活動していたことが伺えます。

天授3年/永和3年（1377年）7月には、再び朽木庄内針畑の地を授与されました。このことから、氏秀は朽木氏の本拠地である朽木庄において、一定の勢力を保持していたと考えられます。同年12月には、近江国安主名の相論に関して足利義満の裁許を得ました。これは、幕府の最高権力者である足利義満の判断を仰ぎ、紛争解決を図ったことを意味します。このことからも、氏秀が幕府との関係を重視していたことがわかります。

応永14年（1407年）6月以降に死去しました。その生涯は、南北朝時代の動乱の中で、地域における勢力拡大と幕府との関係維持に努めたものと言えるでしょう。

参考文献
安田元久 編『鎌倉・室町人名事典』新人物往来社、1985年。ISBN 4404013027。
上田正昭ほか 監修『講談社日本人名大辞典』講談社、2001年。ISBN 4062108496。

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