朽木玄綱

朽木 玄綱（くつき とうつな）

朽木玄綱は、江戸時代中期における丹波国福知山藩の第5代藩主です。彼は宝永6年（1709年）に美濃国岩村藩の第3代藩主・松平乗紀の五男として生まれました。享保12年（1727年）には、母方の叔父である福知山藩の第4代藩主・朽木稙治の養子となり、翌年には第8代将軍・徳川吉宗に拝謁する機会を得ました。これにより彼の政治的な活動が始まりました。

養子となった後、彼は享保13年（1728年）に稙治の隠居に伴い家督を継ぎましたが、藩政はさらなる試練に見舞われます。享保17年（1732年）には「享保の大飢饉」が発生し、これが原因で享保19年（1734年）には「享保の強訴」と呼ばれる騒動が勃発しました。この騒動は藩の内部に混乱を引き起こし、米価が高騰したため、玄綱は自らの生活を切り詰めて出費を抑えることを余儀なくされました。

また、彼は明智光秀御霊法会を許可しており、これが御霊祭りの開始を促すこととなりました。さらに、藩主としての彼の権威は、後継者問題によっても揺らぎました。養子にしていた綱貞が病気から回復し、父である稙治が死去したことで、彼と綱貞を支持する家臣との間に対立が生じました。そのため、玄綱の発言権は次第に弱まりました。

このような難局の中でも、玄綱は文武の発展に多大な貢献をしました。享保19年（1734年）には奏者番に就任し、さらに宝暦8年（1758年）には寺社奉行も兼任することになりました。寶暦9年（1759年）にはうその中で同職を辞任しました。その後も明和6年（1769年）には日光祭礼奉行に任命され、藩の文化や儀式の発展に寄与しました。

玄綱は明和7年（1770年）の8月30日に62歳で亡くなり、彼の跡を綱貞が継ぎました。彼の遺族には正室の乾了院や側室のお咲、長男の朽木舖綱をはじめ、多くの子供たちがいました。特に四男の松平乗純や六男の牧野成音、さらに女子たちも様々な家に嫁いでいます。不見識の養子綱貞もまた、彼の血を引くこととなります。玄綱の生涯は、動乱の時代における藩主としての苦悩を象徴しており、彼の政治と文化への貢献は後世に色濃く残っています。

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