杉原荒太

杉原 荒太（すぎはら あらた）

杉原荒太は、1899年8月28日に佐賀県杵島郡中通村で生まれ、1982年1月20日に亡くなるまでの間、日本の政治と外交において重要な役割を果たした政治家です。彼は4期にわたり参議院議員を務め、防衛庁長官を歴任しました。

来歴

杉原は1917年に旧制鹿島中学校を卒業後、旅順中学校を経て、1922年に大阪市立高等商業学校を卒業します。その後、外務省に入省し、アメリカのヴァーモント大学に留学し、無事に卒業を果たしました。帰国後は、南京総領事をはじめ、外務省内で多くの重要なポジションを歴任しました。具体的には、本省の法規課長、企画課長、大東亜省総務局長、外務省調査局長、同条約局長など、官僚として幅広い経験を積みました。

戦後、杉原は吉田茂内閣としばしば対立し、1946年にはいわゆる“Y項パージ”により外務省を追放され、その後弁護士に転身しました。この追放は杉原にとって大きな転機となり、その後の政治活動や官僚制度に対する見解に影響を与えました。

1950年には自由党から第2回参議院議員通常選挙に立候補し、見事当選を果たします。再度政治の道を歩み始めると、彼は鳩山一郎首相の外交相談役として、特に日ソ国交回復交渉の重要な裏方役として知られるようになりました。1955年には第2次鳩山一郎内閣において防衛庁長官に就任しますが、当時の核兵器問題やミサイルの取り扱いに関する複雑な事情に悩まされ、「国防会議構成法案」の廃案を受けて辞任しました。

鳩山首相の退陣後、杉原は藤山派に所属し、その後1968年には南条徳男や平井太郎と共に福田派に転じます。参議院においては外務委員長、自由民主党の政策審議会長、紀委員長など、重要な役職を歴任しました。1972年には秋の叙勲で勲一等瑞宝章を受章し、1974年には政界を引退します。

彼の功績は地域社会にも認められ、同年に彼の故郷である山内町から名誉町民の称号が贈られました。1976年には山内公民館前に胸像と功績碑が建立され、後世にその足跡が刻まれています。

杉原荒太は1982年1月20日に脳出血により82歳で亡くなりました。彼の死後、正五位から従三位に叙され、その政治的な影響は今でも多くの人々の記憶に残っています。

著書

彼は著書として『外交の考え方』（鹿島研究所出版会、1965年）を残しており、政治や外交に対する彼の考え方を知る資料となっています。

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