南条徳男

南条徳男について

南条徳男（なんじょう とくお、1895年7月7日 - 1974年11月1日）は、日本の政治家で、建設大臣や農林大臣を歴任したことで知られています。彼は北海道胆振支庁室蘭村、現在の室蘭市で生まれました。学歴は優秀で、仙台の東北中学校（今の東北高等学校）から第二高等学校を経て、1920年には東京帝国大学法学部独法科を卒業。卒業後は弁護士として活動しました。

在学中は岸信介と同じく学友であり、彼とともに日本の人口や食糧問題について関心を持つようになりました。この情熱は、南条の「ブラジルへの100万人移住」計画に対する取り組みにも現れています。彼は自らの考えを実現するために立憲政友会に入党し、当時の総裁である原敬に面会して移民政策について意見を述べるなど積極的に活動しました。一方、1923年には立憲政友会法曹団を設立し、幹事長に就任しました。

南条は1932年の第18回衆議院議員総選挙に政友会公認で旧北海道4区から立候補しましたが、党が大勝したにもかかわらず落選。この不運は続きましたが、1936年の第19回選挙では再度立候補し、ようやく当選を果たしました。その後も彼は通算11回選挙で当選を重ね、政界での地位を固めました。特に、前田米蔵の側近として内閣の中で重要な役割を担い、1944年には小磯内閣で運輸通信大臣に就任しました。

戦後の政治活動にも影響力を持ち、日本進歩党の結成に参加しましたが、戦時中の翼賛選挙での推薦議員であったため公職追放の憂き目に遭います。追放が解除された後、岸信介が結成した日本再建連盟に参加し、自由党から選挙に立候補して当選。1954年、岸が自由党から除名された際には新たに結成された日本民主党に参加、副幹事長の職に就きます。1956年には石橋内閣で建設大臣に初入閣する成功を収めました。

1960年には第1次池田内閣で農林大臣に任命され、安定した政権運営に寄与。以降、更なる政治的地位を確立し、1972年に室蘭出身の後継者三枝三郎を指名し、政界を引退しました。ただ、彼の地盤はその後、鳩山由紀夫が引き継ぐことになりましたが、これは面白い歴史の巡り合わせでもあります。

南条は非常に親しみやすいキャラクターで、エリート的な香りをあまり感じさせず、特にその大ざっぱで野性的な人柄が多くの人々に愛されました。彼の業績は勲一等瑞宝章や勲一等旭日大綬章などの栄典でも証明されています。彼は1965年に勲一等瑞宝章を受章し、1972年には室蘭市名誉市民に選ばれました。1974年に心筋梗塞で79歳で急逝するまで、多くの支持者や同志たちに敬愛され続けました。

エピソード

南条は4段の柔道家でもあり、新人議員の頃、同僚の松本治一郎を議場で見事に投げ飛ばした出来事があり、この事実の報復を避けるために1ヶ月ほど外泊をしたという逸話が残っています。彼の地盤を引き継いだ三枝三郎は、1983年に落選となり政界を引退しましたが、その後の地盤引き継ぎは鳩山由紀夫に渡り、彼は第93代内閣総理大臣となるなど、南条の影響は現代に至るまで続いています。特に、鳩山由紀夫の祖父である鳩山一郎が南条の側近であった前田米蔵のライバルであったということからも、政治の歴史には興味深い流れが見られるのです。

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