杉山誠 (演劇評論家)

杉山誠

杉山誠（すぎやま まこと、1907年5月1日 - 1968年12月30日）は、日本の演劇評論家、翻訳家であり、日本の演劇界に多大な影響を与えました。

生涯

東京で生まれた杉山は、東京帝国大学文学部を卒業後、新関良三に師事し演劇の道を志しました。戦前は、尾上菊五郎劇団の文芸部長として劇団を支え、演劇に関する深い知識と情熱を発揮しました。

1943年には召集され、第二次世界大戦に従軍。南方へ赴き、将校として部隊を率いる傍ら、兵士たちのために芝居を上演するなど、戦場でも演劇への情熱を絶やしませんでした。この時の経験は、部下であった加東大介の著書『南の島に雪が降る』に、杉山大尉として実名で描かれています。

戦後は、俳優座付属俳優養成所の主事として、次世代の俳優育成に尽力。また、共立女子大学文芸学部の教授として教鞭を執り、演劇研究の発展に貢献しました。評論家としては、新聞に歌舞伎評を寄稿し、その鋭い視点と深い知識で多くの読者を魅了しました。翻訳家としては、イプセンをはじめとする近代戯曲を数多く翻訳し、日本の演劇界に紹介。海外の優れた作品を日本に広めることで、日本の演劇文化の発展に大きく貢献しました。

1968年12月30日、劇団民芸の年忘れパーティーに出席した際、スピーチ中に心筋梗塞で倒れ、急逝しました。享年61歳。

業績

杉山誠は、演劇評論、翻訳、教育の分野で多岐にわたる業績を残しました。彼の翻訳した戯曲は、今日でも多くの劇団によって上演されており、日本の演劇界に深く根付いています。また、彼の評論は、演劇に対する深い洞察力と、それをわかりやすく伝える文章力で高く評価されています。

共編著

An outline History of the Japanese Dance 藤間勘十郎共著、国際文化振興会、1937年
『現代演劇講座 第5巻 世界の演劇 第2(演出と俳優)』山田肇共編 三笠書房、1959年

翻訳

ストリンドベリー『令嬢ジュリー』三笠書房、1952年
ストリンドベリ「ペリカン」『世界文学全集 (十九世紀続篇 ストリンドベリ篇) 』河出書房、1952年
「青年の病気」（フェルディナント・ブルックナー）「夜のあかり」（C.ゲッツ）『現代世界戯曲選集 第2 ドイツ篇 』杉山誠編、白水社、1953年
「スペインの喜劇」（A.レルネット＝ホレーニァ）『現代世界戯曲選集 第10 ドイツ篇 第2』杉山誠編、白水社、1954年
「タンゴールの人々」（M.アネルセン ネクソ）『現代世界戯曲選集 第12 諸国篇』杉山誠編、白水社、1954年
「子供の時間」（リリアン・ヘルマン）『現代世界戯曲選集 第6 アメリカ篇』菅原卓編、白水社、1954年
「バッカスの祭」（アルトゥル・シュニッツラー）『現代世界戯曲選集 第7 一幕物篇』菅原卓編、白水社、1954年
「人形の家」（イプセン）「稲妻」「父」（ストリントベリ）『世界文学全集（イプセン、ストリンドベリ）』河出書房、1955年
ロバート・アンダースン『お茶と同情』江本澄子共訳、白水社、1956年 現代海外戯曲
『三文オペラ』（ベルトオルト・ブレヒト）『世界文学全集 (現代世界戯曲集) 』河出書房、1956年
「熊」『チェーホフ名作集』白水社、1956年
ハウプトマン篇「海狸の外套-泥棒の喜劇-」『世界文学全集（ハウプトマン、シュニッツラー） 』河出書房新社、1958年
竹田出雲、三好松洛、並木千柳作'>[仮名手本忠臣蔵]『日本文学全集 第11 (謡曲狂言・歌舞伎集) 』河出書房新社、1961年
イプセン「ヘッダ・ガブラー」『世界文学全集 第26（イプセン、ハウプトマン）』河出書房新社、1962年
ブレヒト「カルラールのかみさんの武器」「小市民の七つの大罪」『世界文学全集 (ブレヒト、アイヒ) 』河出書房新社、1965年
「ケベニックの大尉」(ツックマイヤー) 『世界文学大系 第90 (近代劇集)』筑摩書房、1965年
「ふたりでシーソー」（ウィリアム・ギブソン）『今日の英米演劇 第2』白水社、1968年
「帰郷」（ハロルド・ピンター）『今日の英米演劇 第4』白水社、1968年
* 「黒いスワン」（マルティン・ヴァルザー）「すべての季節の男」（ボルト）『世界文学全集 カラー版 別巻 第2巻 (現代世界戯曲集) 』河出書房新社、1969年

杉山誠の功績は、日本の演劇史において特筆されるべきものであり、彼の情熱と才能は、後世に永く語り継がれることでしょう。

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