杉本五郎 (漫画家)

杉本五郎：日本のアニメーション文化に多大な影響を与えた人物

杉本五郎（すぎもと ごろう、1924年2月9日 - 1987年6月13日）は、日本のアニメーション研究家、映画フィルム収集家、漫画家、アニメーター、著作家として知られています。東京市日本橋区出身で、アニメーションの発展に尽力した彼の人生は、その多彩な活動によって彩られています。杉本はアニメーションの重要な普及者であり、彼の知識とコレクションは日本の映像文化に寄与しました。

フィルム収集の道のり

杉本は12歳の時にフィルム収集を始め、その情熱は生涯を通じて続きました。最高で2万本のフィルムを集め、日本で有数のフィルム収集家と評されるまでになりました。そのコレクションは、戦争や火災による被害を受けながらも、1971年には大日本フィルム社を設立し、再びフィルムを収集し続けました。しかし、同年に自宅が火災で焼失したことで、彼のコレクションの大部分も失われてしまいました。それでも彼は諦めず、再び収集を行い、5千本のフィルムを再構築しました。

彼の著書『映画をあつめて』では、国立近代美術館フィルムセンターより多くの作品を保有していたことを誇示しており、その情熱と知識の深さが伺えます。また、ニュースフィルムや記録映画を有償でテレビ局に貸し出す一方で、日本国内のアニメファンには珍しいアニメーションフィルムを無償で提供しました。これにより、アニメ文化の発展に寄与し、多くの人々に新たな映像体験を提供しました。

アニメーションの普及と創作活動

1967年には東京アニメーション同好会（後のアニドウ）の顧問に就任し、アニメーションに関する記事を執筆しました。彼の関心は評論にとどまらず、若い頃からアニメーションの制作にも挑戦し、晩年には自主制作を行なったことでも知られています。制作した作品には「お江戸の千代紙」や「少女の幻影」があり、その独自の視点から新たな景色を描き出しました。

また、杉本は1960年代に貸本漫画家としても活動し、この時期に水木しげるとも親交を深め、彼の作品にキャラクターのモデルを提供しました。杉本のコレクションには多数の貸本漫画も含まれており、彼の書斎には約3軒分の漫画が収納されていたといわれていますが、これもまた火災で失われてしまいました。

最後の足跡

1987年に再生不良性貧血で亡くなった杉本は、晩年までフィルム収集やアニメーション制作に情熱を注ぎ続けました。彼は独身で生涯を通じて子供を持たず、自己のフィルムコレクションに全力を注いでいました。1985年には自身の信念に基づき、ロングインタビューを出版したり、少女のヌード写真を撮影したりするなど、さまざまな表現に挑戦していました。これは後に形式を変えて作品集『アンティック少女写真館』として発表されています。

彼の死後、アニメ雑誌『アニメージュ』によって追悼特集が組まれ、1990年には生前の活動をまとめた本も出版されました。杉本のコレクションは現在、アニドウによって管理されており、その多くには異議を唱える声もありますが、彼が日本のアニメ文化に残した影響は今も色あせていません。杉本五郎の目線で捉えた日本のアニメーションの数々は、今後も多くの人々に刺激を与え、続いていくことでしょう。

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