杉浦竜太郎

杉浦竜太郎：広島カープを支えたサイドスローの職人

杉浦竜太郎（すぎうら りゅうたろう、1923年10月10日 - 1994年1月26日）は、茨城県水戸市出身のプロ野球選手でした。主に投手として活躍し、広島カープ、大洋ホエールズに在籍しました。

プロ入りまで

水戸工業から山藤クラブ、社会人野球の熊谷組を経て、1951年に広島カープに入団。27歳とプロ入りは比較的遅咲きでした。

広島カープでの活躍

小柄ながらも、コーナーワークを活かした丁寧な投球が持ち味でした。サイドスローから繰り出すカーブ、シュートを武器に、緩急をつけたピッチングで打者を翻弄しました。

1951年、入団1年目にして開幕投手に抜擢されるという異例のスタートを切りました。これは、当時のエースであった長谷川良平が中耳炎を患っていたことが理由でした。しかし、杉浦は見事にその期待に応え、強力な阪神打線を相手に7安打1失点で完投勝利を飾りました。しかし、チーム事情から中1日で先発、2試合後には救援登板、そして翌日には再び先発という過酷な起用が続きました。その結果、1年目は34試合に登板し、6勝14敗、防御率3.84という成績を残しました。

2年目の1952年には、初の完封勝利を被安打1という内容で飾るなど、前年を上回る活躍を見せました。この年は42試合に登板し、投球回数は200回を超え、9勝12敗、防御率2.94という好成績を挙げました。長谷川良平と共にチームの勝ち星の過半数を稼ぎ、チームの解散を防ぐ立役者の一人となりました。

大洋ホエールズへの移籍と引退

1953年以降は成績が振るわず、1955年には大洋ホエールズへ移籍し、登録名を「杉浦正幸」に改めました。しかし、ここでも結果を残すことができず、同年限りで現役を引退しました。

引退後

引退後は故郷の茨城県に戻り、日立市の市議会議員として地域社会に貢献しました。

プレースタイル

杉浦は、サイドスローから繰り出す変化球と、抜群の制球力が持ち味の投手でした。特筆すべきは与死球の少なさで、1952年には208回を投げて4死球を与えたものの、それ以外のシーズンでは計340回余りを投げて与死球は0という記録が、コントロールの良さを物語っています。

記録

1951年：新人として開幕投手を務め完投勝利（リーグ史上2人目、完投勝利はリーグ初）
広島カープ初の開幕戦勝利投手、開幕戦完投投手
1952年：1安打完封（球団史上初）
1952年：防御率2.92（リーグ9位、球団史上初の防御率10傑入り）

杉浦竜太郎は、広島カープの黎明期を支えた、記憶に残る名投手でした。

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