杉田久雄

杉田 久雄

1949年3月15日に静岡県湖西市で生を受けた杉田 久雄は、右投げ右打ちの投手としてプロ野球界で活躍した人物です。

静岡県立浜松商業高校に進学。2年生だった1965年春には、中部地区の大会決勝で先発投手としてマウンドに立ち、延長戦の末に勝利を収める活躍で注目を集めました。翌1966年の夏の静岡県大会では準決勝まで駒を進めましたが、惜しくも敗退し、甲子園出場の夢は叶いませんでした。高校には、1年後輩に後にプロでも共にプレーすることになる内野手の榊原良行がいました。

高校卒業後は、野球の名門である中央大学へと進学します。大学野球では東都大学野球リーグに所属し、在学中に二度の優勝を経験しました。特に4年生として迎えた1970年秋季リーグでは、8勝1敗という目覚ましい成績を残し、チームの優勝に大きく貢献。その活躍が評価され、最優秀選手、最優秀投手、そしてベストナインといった数々のタイトルを獲得しました。同年開催された第1回明治神宮野球大会にも出場しましたが、2回戦で敗退しています。大学リーグでの通算成績は、56試合に登板して21勝16敗、防御率2.08、197奪三振という立派なものでした。中央大学時代のチームメートには、後にプロ入りする宇田東植や石渡茂がおり、また高校時代の後輩である榊原良行とも再び同じユニフォームを着てプレーしました。

大学での輝かしい実績を引っ提げ、1970年のプロ野球ドラフト会議において、東映フライヤーズから1位指名を受け入団しました。本格派の右腕として大きな期待が寄せられ、上手投げから投げ込まれる重い速球は高い前評判を集めましたが、一方で制球力に課題を抱えていました。

プロ1年目の1971年は、新人ながら6月から2試合に先発投手として起用されました。しかし、期待通りの結果を残すことができず、肩の故障や内臓系の疾患にも見舞われるなど、不本意な一年となりました。同年には若手の登竜門であるジュニアオールスターへの選出も決まっていましたが、故障により出場を断念せざるを得ませんでした。ちなみに、この年、中央大学の1年先輩で東映に同期入団した皆川康夫は11勝を挙げ、新人王に輝いています。その後も苦しい時期が続き、1973年には18試合に登板したものの、主に二軍での調整が長期間に及びました。

しかし、地道な努力を重ね、徐々に投球に安定感が増していきます。1976年には5月20日のシーズン初先発で南海ホークスを相手に白星を挙げ、これがこの年最初の勝利となりました（この試合は先輩の皆川がセーブで勝利を締めくくっています）。さらに7月11日にはロッテオリオンズからプロ入り後初の完封勝利を記録するなど、この年は5勝をマークし復活の兆しを見せました。

翌1977年も3勝を挙げましたが、同年オフ、チームの中心選手であった柏原純一の移籍騒動に絡む形で、柏原との交換トレード要員として、チームメートの小田義人とともに南海ホークスへの移籍が決定します。南海に移籍した1978年は、シーズン開幕直後から先発ローテーションの一角として起用されましたが、チームが最下位に沈む苦しい状況の中、自身も3勝9敗と成績を残すことができませんでした。続く1979年は、キャリアで初めて規定投球回に到達（防御率5.63でリーグ25位）しましたが、チーム状況は好転せず、自身も7勝14敗と大きく負け越してしまいます。1980年5月には、岡義朗との交換トレードにより、広島東洋カープへ移籍することになりました。

広島では、残念ながらあまり出場機会に恵まれず、1981年限りで現役生活にピリオドを打ちました。

現役引退後、杉田氏はユニフォームを脱ぎ、1985年まで読売ジャイアンツの打撃投手として、後進の指導や選手の練習を支える立場から野球に携わりました。

投手としての杉田氏は、スリークォーターの投球フォームから繰り出すストレートに加え、スライダー、カーブ、そして打者の内角を突くシュートを得意としていました。これらの球種を武器に、プロ野球のグラウンドで戦い続けました。

もう一度検索