李万燮

李萬燮（イ・マンソプ、1932年2月25日 - 2015年12月14日）は、韓国を代表するジャーナリストであり、政治家として長く活躍しました。延世大学校政治外交学科卒業後、東亜日報社の記者としてキャリアをスタートさせ、駐日、駐米特派員を歴任するなど、ジャーナリズムの世界で研鑽を積みました。

1963年の第6代総選挙で民主共和党から当選し、政界入りを果たします。当時最年少の当選者として注目を集め、その後は政権与党の一員として活動しました。しかし、朴正熙大統領の三選を可能とする憲法改正には異議を唱え、独自の政治姿勢を示しました。この反発は、金炯旭（キム・ヒョンウク）による李萬燮氏の抹殺命令という事態にまで発展するものの、朴大統領によって阻止されました。

民主共和党解散後は、韓国国民党を経て新民主共和党、さらに民主自由党へと移籍を繰り返し、1993年には第14代国会の前半期国会議長に就任。その後、新韓国党に入党しますが、李会昌（イ・フェチャン）の大統領選候補選出に反発し、離党。国民新党総裁に就任し、李仁済（イ・インジェ）の大統領出馬を支持しました。

金大中（キム・デジュン）政権下では、新千年民主党の結党に関与し、2000年には再び国会議長に就任。2002年の国会法改正により、国会議長在任中の党籍維持が不可能となり、韓国憲政史上初の無所属国会議長となりました。2004年の第17代総選挙では不出馬を表明し、長きにわたる政治家としてのキャリアに幕を閉じました。

李萬燮氏は、政治活動のみならず、ジャーナリストとしての経験を生かした著述活動にも積極的に取り組み、『5・16と10・26──朴正熙・金載圭そして私』など、貴重な記録を残しています。政治家としての信念とジャーナリストとしての鋭い視点、そして人間味あふれるエピソードの数々は、後世に長く語り継がれるでしょう。

数々の政党を渡り歩いた政治人生は、必ずしも平坦なものではありませんでした。しかし、その中で彼は常に自身の信念を貫き、時代の変化に柔軟に対応しながら、韓国の政治発展に貢献しました。朴正熙大統領との複雑な関係や、憲法改正への反対、そして様々な政党への所属と離党劇は、激動の韓国現代史を象徴する出来事の一部でもあります。

2003年には、ドラマ『野人時代』を視聴し、同僚議員らと感想を語り合ったエピソードも伝えられています。ドラマの内容を高く評価しつつも、自身を演じた俳優の容貌についてユーモラスなコメントを残したという逸話は、李萬燮氏の温厚な人柄とユーモアセンスを感じさせます。

2015年12月14日、83歳で死去。その功績を称え、国会葬が執り行われました。彼の政治人生は、激動の時代を生き抜いた一人の政治家のドラマであり、韓国の政治史に大きな足跡を残しました。李萬燮氏の中学・高校時代の恩師であり、政界入り後も親交があった金載圭（キム・ジェギュ）氏との関係や、ハンガリー動乱への参加未遂、そして2002年にハンガリーから授与されたハンガリー十字大勲章なども、彼の生涯における重要な出来事として記憶されています。

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