李世ドル

李 世乭（イ・セドル）

李世乭は、1983年3月2日生まれの韓国の元囲碁棋士である。彼は、国際棋戦での数々の優勝を誇り、2000年代中頃から2010年代初頭にかけて、世界の囲碁界で最も強力な棋士の一人とされてきた。兄も囲碁棋士として活動している李相勲であり、あらゆる面で囲碁の道に深い影響を受けた環境で成長した。彼はその独創的な棋風から「韓国棋界の魔王」とも称されている。

経歴

全羅南道新安郡の飛禽島に生まれた李世乭は、幼少期から父親に囲碁を学び、6歳のころから棋譜の並べ方を習得。1995年に入段した彼は、その名をすぐに広め、「不敗少年」と呼ばれるような強さを見せつけた。特に1996年には第1回LG杯世界棋王戦で有名な曺薫鉉との公開対局を行い、注目を浴びることになる。

17歳の時、2000年にはバッカス杯天元戦で初めてのタイトルを獲得し、同年32連勝を記録。その後も急成長を続け、2003年にはKT杯で準優勝し七段に昇段。また、富士通杯世界選手権では連続優勝を達成し、九段へと昇段した。その後の韓国国内リーグでも4冠を達成し、実績を残す。

名人戦においても2007年、リーグ戦での好成績を経て名人位を獲得。その後も多くの国際棋戦で勝利を重ね、2008年にはトヨタ＆デンソー杯や三星火災杯などでの優勝を果たし、彼の名声は高まり続けた。結婚生活を経て、2006年3月には結婚式を挙げた後も、持ち味の戦闘的なスタイルで棋士業を励んだ。

棋士休職と復職

しかし、2009年に入ると、彼は韓国囲碁リーグへの不参加や棋譜管理の問題で悩まされ、1年半の休職を発表。これを経て再び2010年に棋戦に復帰し、その後も注目の棋士として位置づけられることになる。復帰後は連勝の記録を打ち立てるなどし、ランキングでも再び1位を獲得。最近ではアジア競技大会での金メダルなど、国内外での活躍が続く。

2016年には、囲碁AI「AlphaGo」と対局する機会があり、そこで1勝4敗という結果を残す。これはAIの進歩を示す重要な出来事であり、囲碁界全体に衝撃を与えた。彼本人もプロ通算1200勝を達成し、その名声を確固たるものにした。

引退とその後

そんな中、2019年11月に引退を表明。囲碁界から離れた後は、テキサス・ホールデムのプレーヤーやボードゲーム作家として活動していく。また、引退対局では韓国製の囲碁AI「ハンドル」と対戦し、最終的に1勝2敗で幕を閉じた。

代表局

李世乭の棋士としてのキャリアにおいて特に有名な局面には、富士通杯の決勝戦やAlphaGoとの対局がある。特にAlphaGoとの対戦では、囲碁における戦略や思考の新たな可能性を提示し、世界中の注目を集めた。

タイトル歴

国際棋戦においては多くのタイトルを保持し、その数は18回に上る。また、国内棋戦でも30回のタイトルを獲得しており、合計で48回という記録を持つ。これは、囲碁史上でも際立った成果であり、彼の名をあらゆる棋士の中で特別なものにしている。

終わりに

李世乭の存在は、韓国囲碁界だけでなく、全世界の囲碁ファンにとっても特別なものであり続ける。彼が残した数々の業績や影響は、未来の囲碁界における若い棋士たちにも大きな刺激となるだろう。

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