曺薫鉉

曺薫鉉（チョ・フンヒョン）

曺薫鉉（チョ・フンヒョン、조훈현、1953年3月10日 - ）は、韓国の囲碁棋士であり、政治家としても活動しました。全羅南道霊岩郡で生まれ、木浦市で育ちました。瀬越憲作名誉九段の門下生として日本棋院と韓国棋院に所属し、九段の地位に昇り詰めました。彼は韓国囲碁界のタイトルを数多く獲得し、第1回応昌期杯世界プロ囲碁選手権戦を制するなど、世界選手権でも輝かしい成績を残しました。1990年代から2000年代前半にかけて、世界最強棋士の一人としてその名を轟かせ、史上最多の世界タイトル保持者である李昌鎬の師匠としても知られています。

棋風

彼の棋風は、軽快で足の速いスタイルが特徴で、「ツバメ流」や「囲碁帝王」と評されました。その独特な棋風は、多くのファンを魅了しました。

経歴

4歳の時に父親が碁を打っているのを見て囲碁を覚えた曺薫鉉は、1958年にソウルに引っ越し、趙南哲の碁会所で囲碁の修行を始めました。7歳で韓国棋院の院生となり、9歳で初段、翌年には二段に昇段しました。1963年には日本に渡り、瀬越憲作に入門、日本棋院の院生として研鑽を積みました。1966年に初段となり、1970年には棋道賞新人賞を受賞しました。その後、木谷実の一門や藤沢秀行の研究会にも参加し、棋力向上に励みました。

1972年に兵役のため帰国し、空軍に入隊（1976年除隊）。1973年に韓国棋院に五段として所属し、兵役中も棋戦に参加しました。1973年には金寅を破り、初のタイトルである最高位を獲得。1976年から国手戦10連覇を達成するなど、韓国国内で数々のタイトルを獲得しました。1980年には韓国の全公式タイトル制覇を成し遂げ、1982年には韓国初の九段となりました。国内総タイトル数は約150に及びます。1989年には、第1回応昌期杯世界プロ囲碁選手権戦で優勝し、韓国に二度目の囲碁ブームを巻き起こしました。1994年には富士通杯、東洋証券杯にも優勝し、当時の3つの世界選手権を制覇するグランドスラムを達成。また、1992年から始まった日中韓三国の対抗戦である真露杯戦では、韓国チームの主将として活躍し、韓国優勝の立役者となりました。

1984年からは李昌鎬を内弟子として育て、後に多くのタイトルを争いました。1999年、第1回春蘭杯で李昌鎬を破り優勝しました。2000年には、富士通杯優勝に加え、4つのタイトル戦に登場し、韓国賞金ランキングで初の1位となりました。2008年には、世界初の公式戦2500局を達成。2015年には、シニア国棋戦、シニア棋聖戦、シニア囲碁クラシック王中王戦で優勝しました。

中国囲棋甲級リーグ戦や韓国囲碁リーグにも参加し、2005年には韓国囲碁棋士ランキング6位となりました。日本在住時には、藤沢秀行の研究会に参加し、瀬越憲作を精神的な師、藤沢秀行を盤上の師と仰いでいました。

1988年に応昌期杯の準決勝がソウルで行われた際には、癌闘病中の藤沢秀行の対局に毎朝、夫人が作ったお粥を届けました。1999年の藤沢秀行の引退碁では第2局の相手を務めました。

私生活では、一男二女の父であり、趣味は登山と競馬です。

2016年、セヌリ党の比例代表として国会議員に当選し、プロ囲碁棋士初の国会議員となりました。2020年に政界を引退するまでに、2018年には囲碁振興法を制定しました。2022年6月には、国会議員を引退し囲碁界に復帰しました。復帰初戦は女流棋士の崔精との対局でした。

タイトル歴

国際棋戦
応昌期杯世界プロ囲碁選手権戦（1989年）
世界囲碁選手権富士通杯（1994年、2000年、2001年）
東洋証券杯世界選手権戦（1994年、1997年）
春蘭杯世界囲碁選手権戦（1999年）
テレビ囲碁アジア選手権戦（2000年、2001年）
三星火災杯世界オープン戦（2001年、2003年）
晋城三国元老招待戦（2007年）
赤壁古戦場杯囲碁国際大師招待戦（2011年）
世界囲棋元老棋会（2013年）
明月山杯中日韓囲碁精鋭戦（2015年）

主な国内タイトル
最高位戦（1973-79、81-88、92年）
国棋戦（1975-79、81-87年）
最強者戦（1975、77、79年）
ペクナム戦（1975年）
王座戦（1976、78年）
国手戦（1976-85、88-89、91-92、98、2000年）
王位戦（1976-79、81-89年）
名人戦（1977、79-81、83-90、97年）
覇王戦（1977-92、95-2000年）
棋王戦（1979、81-82、84-87、89-92、95年）
KBS杯バドゥク王戦（1980-81、84、86-87、89-90、92、96-97、99年）
全前王座戦（1980年）
帝王戦（1982、84-86、88-89、93-94年）
大王戦（1983-87、89、93年）
バッカス杯戦（1983、85、87-89、94年）
棋聖戦（1989、91年）
BCカード杯戦（1991、96年）
倍達王戦（1996年）
KT杯マスターズプロ棋戦（2002年）
電子ランド杯王中王戦 玄武部（2004、05年）
大舟杯プロシニア最強者戦（2010、13年）
シニア国棋戦（2015年）
シニア棋聖戦（2015年）
シニア囲碁クラシック王中王戦（2015年）

その他の棋歴

国際棋戦
真露杯SBS世界囲碁最強戦
ロッテ杯中韓囲碁対抗戦
農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦
CSK杯囲碁アジア対抗戦
南方長城囲棋招待戦
江原ランド杯韓中囲碁対抗戦
国際名人ペア碁トーナメント
珠鋼杯世界囲碁団体選手権
国手山脈杯国際囲棋戦 ペア碁戦
山西普城世界ペア碁戦
聶衛平杯囲棋大師戦

国内棋戦
韓国囲碁リーグ
韓国棋院総裁杯シニア囲碁リーグ

その他
新鋭トーナメント戦（日本）準優勝（1971年）
中国囲棋甲級リーグ戦

受賞

銀冠文化勲章（1989年）

代表局

1989年第1回応昌期杯世界プロ囲碁選手権戦 決勝五番勝負第1局 曺薫鉉-聶衛平戦

著作

『曺薫鉉囲碁名局集』（三一書房、1995年）
『曺薫鉉名局選集（上）（下）』（棋苑図書、2003、08年）
『ノゾキにツグ馬鹿、ツガぬ馬鹿』（東京創元社、2015、04年）
『韓流 囲碁が驚くほど強くなる本』（1999年、李珖求と共著）

関連書籍

李光九『曹フンヒョンとの対話』（1999年）

外部リンク

* 韓国棋院の曺薫鉉プロフィール'>韓国棋院の曺薫鉉プロフィール

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