李垣

李垣（り えん、字は謙六）は、中国の激動期を生きた政治家であり外交官です。清朝末期から中華民国、そして満洲国へと、その活動の場を移しました。

清末の活動

李垣は北京同文館を卒業後、東三省（現在の中国東北部）に赴任し、吉林交渉局提調やハルビン鉄路交渉局提調を歴任しました。その後、ロシアに留学し、サンクトペテルブルク大学で学びました。卒業後は駐ロシア公使館で通訳官を務め、国際的な視野を養いました。

北京政府での活動

中華民国成立後、李垣は北京政府において、その能力を発揮します。国務院法制局編訳員としてキャリアをスタートさせ、1913年には法制局検事に昇進。翌年には署理法制局参事に任じられました。その後、モンゴル（外蒙古）での官職を歴任し、1918年には恰克図佐理員に就任。1920年には、徐樹錚の辞任に伴い護理西北籌備使を兼任しました。同年9月には烏努烏梁海（タンヌ・ウリャンカイ）参賛、12月には科布多（ホブド）参賛へと異動。モンゴル地域での行政を担いました。1921年3月、庫烏科唐鎮撫使の陳毅がモンゴル軍とロシア白軍に敗れて罷免されると、李垣が代理庫烏科唐鎮撫使を兼任しましたが、1922年、ソビエト連邦の支援を受けたモンゴルのボグド・ハーン政権により、モンゴルにおける北京政府の役職は一掃され、李垣もその地位を失いました。この間、外蒙冊封副使や蒙疆経略使署左参賛なども務めています。

その後、李垣は1925年に善後会議会員、同年7月には臨時参政院参政となりました。1926年9月には京兆尹兼北京市長に任命されましたが、1927年に辞職しています。

満洲国・親日政府での活動

1933年2月、満洲国がソビエト連邦のチタに領事館を開設すると、李垣がその初代領事に任命されました。1935年11月、殷汝耕が冀東防共自治委員会（後に冀東防共自治政府に改組）を成立させると、李垣もこれに参加し、貨物査検所長に就任しました。しかし、その後の李垣の消息は不明となっています。

李垣の生涯は、清朝末期から中華民国、そして満洲国という激動の時代を反映しており、その活動は多岐にわたりました。国際的な感覚を持ち合わせ、行政手腕を発揮した人物と言えるでしょう。

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