李恒 (元)

李 恒について

李 恒（り こう、1236年 - 1285年）は、モンゴル帝国に仕えたタングート人の将軍として知られています。彼は西夏国の王族の血を引き、崖山の戦いなど南宋との戦争での彼の活躍が特に注目されています。

家族背景と若年期

李恒の先祖は西夏国の王族であり、彼の曾祖父は西夏国の神宗である李遵頊です。チンギス・カンが西夏国に侵攻した際、李遵頊の子供である廃太子李徳任は兀剌海城で抗戦し、最後には討ち死にしました。この戦いの中、李徳任の子である李惟忠はわずか7歳でしたが、モンゴル軍に捕らえられ、チンギス・カンの弟ジョチ・カサルに引き取られ育てられることになります。その後、李惟忠の家系はカサル家に仕官し続けました。

李恒は幼少期から聡明であり、カサル家の王妃によって大切に育てられました。1262年には尚書省のジャルグチに就任しましたが、その地位は兄に譲りました。後、父とともに反乱を起こした李璮に報告し、獄中に捕らわれますが、彼の功績が認められ、クビライによって淄萊路アウルク総管に任じられました。

襄陽の戦いと南宋侵攻

1270年、李恒は宣武将軍として襄陽の包囲戦に参加しました。彼は敵軍からの救援を阻むための防塁を築き、南宋の水軍の襄陽救援を阻止する伏兵を設けるなど、巧妙な戦術で攻撃を仕掛けしました。1273年に本格的な襄陽の攻防が始まり、李恒は精鋭を率いて樊城を攻略し、最終的に襄陽も陥落させることに成功しました。この戦闘における彼の功績により、クビライから明威将軍に任じられました。

その後、1274年には南宋への全面侵攻で李恒は東進し、南宋軍と激しい戦闘を繰り広げました。彼は戦闘中に重傷を負うも、任務を全うして南宋軍を撃破しました。

南宋の残党との戦闘

1275年、李恒は南宋の将軍高世傑による攻撃から守るために鄂州に派遣され、地元の豪士に率いられた盗賊を投降させるなどの活躍を見せました。その後、彼は湘江から江西に進出し、南宋の抵抗に直面しました。特に文天祥との戦闘は厳しいものでした。

李恒は文天祥攻略の際、彼の先祖の墓を暴くという提案を一蹴し、倫理を重んじた姿勢が記録されています。李恒は贛州を包囲して大勝し、文天祥を福建に追い込む際にも、逃げ道を抑える策を採ることで見事に勝利しました。この衝突は崖山の戦いに繋がり、南宋の滅亡を早める結果となりました。

最後の年

1280年には中書左丞に昇進しましたが、1282年には軍職を退くことを望み、長男に地位を譲りました。その後も軍歴から完全引退せずに、占城出兵の際に補給を担いました。
さらに交趾遠征に参加し、王宮の占領と世子の捕虜を挙げるなどの功績を収めましたが、最終的には交趾の暑さと疫病に苦しみ、敗走。50歳で生涯を終えました。

李恒の生涯は、紛争と忠誠が交錯する歴史の中で彼の戦略と人間性が際立ったものでした。

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