李敖

李敖（リー・アオ、1935年4月25日 - 2018年3月18日）は、台湾を代表する作家、中国近現代史研究者、時事評論家、そして政治家です。彼は、その多才な才能と、物事を恐れない姿勢で知られ、激動の20世紀後半の台湾社会において、独自の存在感を放ちました。

ハルビンで生まれた李敖は、幼少期を「安辰」と名乗り、後に「敖之」を字としました。祖先は山東省濰坊市にルーツを持ちますが、李敖自身は自叙伝の中で、雲南省のミャオ族の血を引いている可能性にも言及しています。彼の父、李鼎彝は、抗日戦争中に華北で秘密裏の活動に従事しており、1949年には国共内戦の影響で、一家は上海から台湾の台中へと移り住みました。

台湾大学歴史研究所を中退後、李敖は国民党の独裁政治下で、人権擁護や反体制活動に身を投じます。政治犯として二度の逮捕と投獄を経験しましたが、彼の言論への情熱が衰えることはありませんでした。出獄後は、「筆伐」と称して、党外雑誌に多くの文章を発表。その作品は検閲に遭い、発行禁止となることも少なくありませんでした。

政治家としては、2000年の中華民国総統選挙に新党から立候補しますが、得票率はわずか0.13%で落選。しかし、2004年には立法院委員選挙で無所属で当選し、政界でもその存在感を示しました。また、軍隊退役後に雑誌を創刊し、文化人との間で中西文化の優劣などをテーマにした論争を繰り広げました。一方で、些細なことでメディアや言論人を名誉毀損で訴えることも多く、生涯で300人以上を訴えたことから、「訴訟ゴロ」という批判的な異名も持ちます。

香港の鳳凰衛視では自身の冠番組「李敖有話説」を持ち、その博識ぶりと辛辣な論評で人気を博しました。彼の著作は多岐に渡りますが、特に『北京法源寺』は有名です。また、その博学さから「奇才」、「大師」と評価されることもあり、胡適、銭穆、殷海光、雷震、梁実秋など、著名な知識人とも交流がありました。

李敖は、その波乱に満ちた人生の中で、常に権威に抗い、独自の視点で社会を批判し続けました。彼の言論活動は、台湾社会に大きな影響を与え、今もなお多くの人々に刺激を与え続けています。その著作は中国文化への深い理解に基づき、エロスをテーマにしたものなど、多岐に渡ります。

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