李斉運

李斉運の生涯と業績

李斉運（り せいうん、725年 - 796年）は、唐の宗室であり、その生涯を通じて様々な官職を歴任しました。彼は字を仲達とし、特に長安奪回に際して重要な役割を果たしました。彼は中山郡王李琚の子として生まれ、李惲の曾孫にあたります。斉運の経歴は華やかではありましたが、数々の挑戦にも直面しました。

初期の経歴

斉運は、寧王府で初任として東閤祭酒に就任し、その後、七度の異動を経て監察御史となりました。その後、江淮都統李峘の幕府に招かれ、工部郎中を経て長安県令に任命されました。さらに京兆少尹や陝王府長史としても業績を残していきました。783年には河中尹および晋絳慈隰観察使への転任があり、これが彼の運命の分かれ道となるのです。

河中府での出来事

斉運が河中府に着任すると、李懐光が涇原の兵変を鎮圧するために急報を受けて、兵士たちを河中府へ導きました。兵士たちが疲労していたものの、斉運の気遣いにより食事が供され、彼らはそのおもてなしに喜びました。その後、李懐光が反乱を起こすと、斉運は河中府を放棄し、逃亡を余儀なくされました。このような波乱のなかでも、斉運は京兆尹に任じられ、さらに御史大夫を兼任することになります。

長安奪回への貢献

当時、長安には朱泚の反乱軍が集結しており、李晟の軍が東渭橋で待機していました。斉運は混乱の中でも夫役を徴募し、城の防御を固め、李晟を支援しました。この結果、李晟は長安を奪回することができ、斉運の果たした役割は非常に大きかったと言えます。

政治と困難

貞元年間、蝗害や旱魃が発生しましたが、斉運には統治の技術が欠けており、韓洄が京兆尹に替わりました。その後、斉運は宗正寺卿に転任し、御史大夫及び閑厩宮苑使も兼任しました。さらに検校礼部尚書となり、しばらくして正式に礼部尚書に就任しました。彼は長い間、宰相とともに政治に参加し、提言を行い続けましたが、彼の含む知識や技術には限界がありました。

信頼と疑惑

斉運は甘い言葉で徳宗の信頼を得る一方、彼が推挙した李錡が浙西観察使に任命されると、その賄賂の総額は数十万に達しました。同様に、李詞が湖州刺史となった際にも不正蓄財で告発されましたが、徳宗は斉運を連座させることはありませんでした。

晩年と死去

病気により1年余り政務に参加できなかった斉運は、朝廷からは裁定のために宦官が派遣されるなど、後ろ盾を必要とする状況に陥りました。彼は自らの妾を正室として、礼部尚書としての儀式を行ったため、周囲から驚きをもって受け止められました。796年、斉運は72歳でこの世を去りましたが、彼の生涯は波乱に満ちていました。その死後、尚書左僕射の位を追贈されました。

李斉運の人生は、政治の世界における浮き沈みと、人々の評価を体現するものでした。彼の物語は、当時の唐王朝の情勢や、官職がもたらす影響を理解する上でも貴重な教訓となります。

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