郎中

郎中（ろうちゅう）に関する歴史的概要

郎中（ろうちゅう）は、中国の歴史において非常に重要な官職であり、その起源は秦の時代にさかのぼります。この官職は宮殿の衛兵として設けられたもので、皇帝の親衛隊の中でも最も下位に位置付けられました。ここでは、郎中の歴史や役割について詳しく解説します。

歴史的沿革

秦から前漢

秦王朝の時代、郎中は宮殿の衛兵としての役割を持つ官職として設置され、皇帝の直近で勤務していました。この時期の郎中は、前漢時代に入ると、「郎官」として扱われ、位は非常に低いものでした。具体的な職務としては、高官の側に控えるというものであり、権威はそれほど高くありませんでした。前漢では、定員はなく、秩石は三百石に設定されていました。その中で、車郎中将、戸郎中将、騎郎中将の3つの郎中将が指導的な立場にありました。

後漢以降

後漢の時代に入ると、郎中は尚書の属官としての役割を果たすようになります。最初は郎中として任命され、その後1年を経て尚書郎、そのさらに3年後には侍郎となるステップを踏むこととなります。このように、郎中の地位は尚書台との関連で強化されていきました。

隋、唐、さらには清代に至るまで、郎中は朝廷の補助部門における中級位の官職とされ、品秩は正五品に設定されました。中級官職である郎中は、卿や少卿の指揮の下、さまざまな庶務を遂行しました。特に清朝時代においては、内務府郎中が宦官の管理や宮廷内の雑務を担う重要な役割を果たしていました。副官としては員外郎が従五品の地位にありました。

衰退と廃止

1912年に宣統帝が退位した後、郎中という官職は正式に廃止されてしまいます。そのため、郎中は清代の終焉とともにその姿を消すことになりました。中国の官制史の中では、数千年にわたる伝統を背負っていたこの官職の廃止は、一つの時代の終わりを象徴しています。

結論

郎中は中国の官職の中でも長い歴史があり、その果たした役割は皇帝宮廷の安全を守る衛兵から、庶務を処理する官職にまで多岐にわたります。時代の変遷とともに、その職務や役割は大きく変化しましたが、古代中国の政治体系において重要な位置を占めていたことは明らかです。

このように、郎中は政治的だけでなく、社会的な側面においても多くの影響を与えた職務であり、その歴史を学ぶことで、当時の中国における宮廷の機能や官職の重要性について、より深い理解が得られます。

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