李根沢

李根沢（イ・グンテク）

李根沢（1865年8月11日 - 1919年12月16日）は、李氏朝鮮末期から大韓帝国時代にかけて活躍した政治家です。彼の生涯は、政治的な功績と共に親日派としての評価が強く、現在の韓国では乙巳五賊の一人として知られています。

生い立ちと初期の活動

李根沢は、成宗の九男である景明君李忱の子孫として忠清道の忠州に誕生しました。彼は光緒8年（1882年）の壬午事変の際に閔妃が忠州に避難した際に、そのもとに新鮮な魚を献上したことで、閔妃の信任を受けます。この出来事が彼の官職への道を開くきっかけとなり、光緒9年（1883年）には南行宣伝官に任命され、初の官職に就くこととなりました。

その後、李根沢は光緒10年（1884年）に武科に及第し、様々な官職を歴任します。端川府使、吉州牧使、忠清水軍節度使、そして兵曹参判といった重要な役職を経て、建陽元年（1896年）には陸軍参領に任命され、親衛隊の第三大隊長に就任しました。しかし、その後露館播遷において政府転覆を企てたとして、彼は済州島に流刑となります。

政治的な復活と業績

流刑から光武元年（1897年）に恩赦を受けると、彼は光武2年（1898年）に独立協会に反対し、その結果として漢城府判尹に昇進します。さらに光武6年（1902年）には議政府の賛政に任命され、その後も光武7年（1903年）には陸軍副将・軍部大臣、光武9年（1905年）には侍従武官長・農商工部大臣・法部大臣に任命されました。特に、1905年には日本政府から勲一等旭日大綬章を受章し、同年に第二次日韓協約の締結に尽力しました。

隆熙4年（1910年）、彼は日韓併合条約に賛同し、同年の10月には朝鮮貴族として子爵の地位を付与されます。その後も朝鮮総督府中枢院の顧問として活動を続けました。

死後の評判

李根沢の評価は彼の死後も波紋を呼びました。2002年には光復会と共に発表された「民族の精気を立てる国会議員の集い」が作成した親日派708人名簿に含まれ、2005年には民族問題研究所が整理した親日人名辞書の収録予定者名簿にも選定されました。また、2006年には日本の統治初期における親日反民族行為106人名簿にも名を連ねています。このように、彼の生涯は評価が分かれる複雑なものであり、今日においても議論の的となっています。

李根沢は、日本による韓国併合の中で重要な役割を果たした人物として記憶されていますが、その行動に対する評価は一様ではなく、韓国社会における歴史認識やアイデンティティに関わるテーマの一つとなっています。

もう一度検索