李棠 (明)

李棠（り とう、1400年 - 1460年）は、明代に活躍した官僚であり、字を宗楷、号を蒙斎と称しました。浙江省処州府縉雲県の出身です。

生涯

1430年（宣徳5年）に進士に合格し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。最初に任じられたのは刑部主事であり、そこで刑部尚書の魏源にその才能を認められました。1443年（正統8年）に金濂が刑部尚書に就任すると、彼は部下に対して厳格な態度で臨みましたが、李棠は金濂に対して物事の是非を冷静に議論し、たとえ譴責を受けても自身の信念を曲げませんでした。この姿勢は、厳格な金濂からも認められることとなり、刑部員外郎へと昇進しました。

その後、李棠は南直隷の囚人に関する記録を詳細に調査し、多くの冤罪を晴らしました。この功績が認められ、刑部郎中に昇進しました。1449年（正統14年）9月には、その能力がさらに高く評価され、刑部右侍郎に抜擢されました。間もなく、広西巡撫として地方に派遣され、軍務の責任者も兼務することとなりました。当時、広西では反乱が頻発しており、李棠は軍を率いてこれらの反乱を鎮圧するために奔走しました。

1452年（景泰3年）、思明土知府の黄𤦇が老齢を理由に、その子である黄鈞に後を継がせました。しかし、黄𤦇の庶兄である黄𤣾は、これに不満を持ち、黄𤦇と黄鈞の父子を襲撃して殺害するという事件を起こしました。李棠は、右参政の曾翬と副使の劉仁宅に命じて事件の真相を調査させました。曾翬らは黄𤣾父子を誘い出して捕らえ、投獄しました。しかし、黄𤣾は窮地に陥り、使者を北京に派遣し、皇太子朱見深を廃位して朱見済を立てるよう景泰帝に請願しました。景泰帝はこの請願を喜び、黄𤣾を都督同知に抜擢し、その子を釈放しました。この一連の出来事に対し、李棠は不当さを感じ、鬱々とした日々を過ごし、しばしば引退を願い出ました。

1454年（景泰5年）、病気を理由に官を辞し、故郷へと帰りました。そして、1460年（天順4年）12月に61歳でその生涯を閉じました。李棠の著作には『蒙斎集』があります。

李棠は、官僚としての職務を全うする中で、常に正義を重んじ、不正を許さない強い信念を持っていました。彼の生涯は、その優れた能力だけでなく、公正な人柄によっても際立っています。

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