李相稷

李相稷（イ・サンジク）

李相稷（イ・サンジク、朝鮮語: 이상직、1963年2月23日 - ）は、大韓民国の政治家、実業家です。イースター航空の創業者として知られ、同社の総括会長を務めました。政界入り後は共に民主党の国会議員、中小ベンチャー企業振興公団の理事長を歴任しました。

経歴

全羅北道金堤市出身で、全州中央小学校、全羅中学校、全州高校を卒業後、東国大学校で経営学の学士号、高麗大学校経営大学院で経営学修士号を取得しました。

イースター航空の会長のほか、全州大学校客員教授、全北大学校招聘教授、中央大学校行政大学院客員教授を歴任するなど、教育分野でも活動しました。

政治家としては、鄭東泳との縁で政界入りし、2012年の第19代総選挙で民主党系の候補として全羅北道全州市の選挙区から初当選し、国会議員を4年間務めました。しかし、2016年の第20代総選挙では、共に民主党の党内予備選挙で落選し、同党の公認を得られませんでした。

その後、2018年頃に中小ベンチャー企業振興公団の理事長に任命されました。2020年の第21代総選挙で再び当選し、国会議員を合算2期務めましたが、2020年9月にイースター航空の従業員大量解雇問題の責任を取り、共に民主党を離党しました。

2021年4月には、現職国会議員の身分のまま横領・背任などの容疑で検察の捜査を受け、国会で逮捕動議案が可決され、身柄を拘束されました。さらに、収監中に有権者買収の公職選挙法違反疑惑で再び起訴され、2022年5月に公職選挙法違反による当選無効の判決が確定し、国会議員職を失いました。

犯罪

2015年10月30日に設立されたイースター航空の親会社であるイースターホールディングスは、李の息子と娘が全株式を保有する会社であり、実質的にはペーパーカンパニーと見られています。設立時の資本金はわずか3000万ウォンでしたが、設立から2ヶ月後に、出所不明の資金でイースター航空の株式約68%（524万株）を買い取り、同社の最大の株主となりました。

会計士の推計によると、この取引における買収金は100億ウォン以上と見られますが、その資金の出所は解明されていません。また、株式524万株の当時の時価は約540億ウォンでしたが、約100億ウォンで売却されたため、イースター航空に約430億ウォンの損害を与えたとされています。

2021年4月28日、李は上記の取引による業務上横領・背任の疑いで拘束され、同年5月14日に全州地検により特定経済犯罪加重処罰等に関する法律違反、業務上横領、政党法違反の容疑で起訴されました。

2021年10月28日に仮釈放されましたが、裁判では検察側から懲役10年の有期刑を求刑されました。2022年1月12日、全州地裁は業務上横領・背任などの罪で懲役6年の有期刑を言い渡し、法廷で拘束されました。2023年4月27日には、大法院が横領・背任罪で懲役6年を言い渡し、判決が確定しました。

さらに、李は選挙活動中にイースター航空の資金や中小ベンチャー企業振興公団の公金を使って選挙区の有権者に酒類を配った公職選挙法違反容疑で、2021年6月16日の1審で懲役1年4ヶ月、執行猶予2年の有期刑が宣告されました。

疑惑

第19代総選挙を控えた時期に、李は選挙組織に準ずるグループを運営し、イースター航空の前代表の地位を利用して事前選挙運動を行ったという公職選挙法違反の容疑で、2013年に80万ウォンの罰金刑を受けました。

また、2012年3月末には、イースター航空側が従業員に「総選挙で良い結果になるよう、注目と応援をお願いします」というメールを送り、後援金の寄付を促しました。メールでは「自発的」と強調しつつも、「印刷せずに後に削除してほしい」という部分があり、寄付の強要を感じた従業員もいました。JTBCはこの疑惑について李に釈明を求めましたが、李は応じませんでした。

2019年6月18日には、当時野党だった自由韓国党の郭尚道議員が、文在寅大統領の娘婿Aがイースター航空のタイの子会社「タイイースタージェット」に特権で就職したという疑惑を提起しました。

調査の過程で、同社の訓練局長として1年間在職した日本人は、Aが「James」という英語名を使って「タイイースタージェット」の高位職に就いていたと証言しました。Aには航空関連の知識や経験、英語力も不足していたにもかかわらず、この会社に就職した経緯は不明で、文大統領の娘婿という人脈を利用して、イースター航空の韓国本社と韓国政府に影響力を行使できる状況だったとされています。

この疑惑は、イースター航空の経営難で大量解雇と会社破産が起こる中で、李相稷が個人的な目的で職権を利用し、第20代総選挙での落選後にAの就職を斡旋したのではないかという疑念を招きました。さらに、Aのタイへの移民を推進し、文大統領の娘一家がタイに転居したことに関しても、李が便宜を提供したのではないかという疑惑が持たれています。

これらの疑惑や犯罪行為により、李相稷は政治家としてのキャリアを終え、実業家としても大きな汚点を残しました。

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