李興

李興（り こう、生没年不詳）は、中国西晋時代の政治家であり、その才能は広く知られていました。別名を安、字を雋碩といい、犍為郡武陽県の出身です。父は蜀漢から西晋にかけて仕えた李密で、彼には李賜、李盛といった兄弟がいました。

李興は六人兄弟の次男として生まれ、兄弟はいずれも優秀で「六龍」と称えられました。彼は特に文才に優れており、益州刺史の羅尚にその才能を見出され、州の別駕従事として仕えることになります。しかし、羅尚が李特の反乱によって攻撃を受けると、李興は荊州刺史であり鎮南将軍でもあった劉弘に救援を求める使者として派遣されることになりました。

劉弘は李興の才能を高く評価し、彼を自身の参軍として迎え入れました。しかし、羅尚は部下を奪われたとして劉弘を非難し、李興を返還するように要求しました。永興年間には太傅掾を務めており、劉弘が隆中に赴いた際、蜀漢の丞相であった諸葛亮の故宅を訪れ、李興にその事績を称える碑文を作成するように命じました。

また、西晋の征南大将軍であった羊祜が亡くなった後、襄陽の人々は彼を偲び、彼が日ごろから親しんでいた峴山に石碑と廟を建て、季節ごとに供物を捧げて祭りました。その石碑を読んだ人々は皆涙を流したと言われ、その様子を見た杜預は、その碑を「堕涙碑」と名付けました。この堕涙碑の碑文もまた李興によって書かれたものでした。

当時の人々は、諸葛亮の碑文と堕涙碑の碑文、二つの碑文の出来栄えに感嘆し、李興の才能を高く評価しました。羊公碑は、唐の時代の詩人である孟浩然によって何度も詩に詠まれ、李白もまた「君見ずや、晋朝羊公が一片の石」と詠んでいます。後に李興は太傅参軍に遷りました。

李興の事績は、西晋時代の文化や人々の感情を知る上で貴重な手がかりとなります。彼の碑文は、当時の人々の精神生活や価値観を反映しており、後世に大きな影響を与えました。

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