村上光清

村上光清（むらかみ こうせい）

村上光清は、江戸時代中期の宗教家であり、富士講の指導者として重要な役割を果たしました。天和2年12月29日（1683年1月26日）に生まれ、宝暦9年9月17日（1759年11月6日）に没しています。本名は村上三郎右衛門といい、光清は富士講の修行者としての名前（行名）です。

富士講における光清の役割

光清は、富士講の開祖とされる角行の直系指導者である父・村上月心とともに、江戸を中心に富士講の布教に尽力しました。その後、彼の一派は「光清派」（または村上派、正統派）と呼ばれるようになり、富士講の重要な一翼を担いました。光清の指導は、富士講の教義を広めるだけでなく、組織的な発展にも大きく貢献しました。

北口本宮冨士浅間神社の復興

光清の最も顕著な功績の一つは、享保年間における北口本宮冨士浅間神社の復興事業です。当時荒廃していたこの神社を、光清は私財を投じて再建しました。この事業は、彼の信仰心と財力を示すものであり、富士講の信者たちに大きな影響を与えました。この復興事業によって、神社は再び人々の信仰の中心となり、富士講の発展を支える重要な拠点となりました。

「大名光清」と「乞食身禄」

同時代の富士講指導者である食行身禄が、貧しい庶民に教えを広げ、「乞食身禄」と呼ばれたのに対し、村上光清は「大名光清」と呼ばれました。この対比は、両者の活動スタイルや支持層の違いを象徴しています。光清は裕福な層からの支持を得て、神社復興などの大規模な活動を可能にしました。両者の活動が相まって、富士講は関東地方で最盛期を迎えることになります。

光清派の衰退とその後

光清の死後、富士講は光清派と身禄派に分かれました。身禄派が枝講を認めたのに対し、光清派はそれを認めなかったため、徐々に衰退しました。村上講（後の富士御法家）は、昭和に入り十七代で断絶しました。しかし、光清派の教えは、冨士教などの他の宗教に受け継がれ、現在もその影響を見ることができます。

村上光清は、富士講の発展に不可欠な存在であり、その功績は現代においても語り継がれています。彼の信仰心と行動力は、多くの人々に影響を与え、富士講の歴史に大きな足跡を残しました。

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