北口本宮冨士浅間神社

概要

北口本宮冨士浅間神社は、山梨県富士吉田市上吉田に位置する神社です。かつては県社であり、現在は神社本庁の別表神社となっています。この神社は、富士山吉田口登山道の出発点として知られ、世界文化遺産「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の一部を構成する重要な場所です。

祭神

主な祭神は以下の通りです。

木花開耶姫命（このはなさくやひめのみこと）：富士山の女神として知られています。
天孫彦火瓊瓊杵命（てんそんひこほのににぎのみこと）：木花開耶姫命の夫神。
大山祇神（おおやまづみのかみ）：木花開耶姫命の父神。

大祭

年間を通して様々な祭典が執り行われます。

新年祭：2月17日
初申祭（例祭）：5月5日
鎮火祭（吉田の火祭り）：8月26日、27日
新嘗祭：11月23日

由緒

神社の創建は、景行天皇40年（西暦110年頃）に日本武尊が東方遠征の際に当地を訪れ、富士山を祀る祠を建てたことに始まると伝えられています。その後、延暦7年（788年）には紀豊庭によって現在の地に社殿が建立され、浅間の大神が祀られました。現在の本殿は、元和元年（1615年）に谷村城主の鳥居土佐守成次によって寄進されたものです。

江戸時代には、富士講の隆盛とともにこの神社は富士登山の中心地となり、多くの御師の宿坊が周辺に立ち並びました。また、明治時代には「冨士山北口本宮冨士嶽神社」と改称され、その後「浅間神社」とも呼ばれるようになり、1946年に現在の名称「北口本宮冨士浅間神社」となりました。

諏訪明神と浅間明神

境内には、諏訪神社が摂社として祀られています。

諏訪神社

祭神

建御名方神（たけみなかたのかみ）
八坂刀売神（やさかとめのかみ）

例祭

鎮火祭（吉田の火祭）：8月26日、27日

由緒

諏訪神社はもともとこの地域の氏神でしたが、明治維新の際に北口本宮の摂社となりました。古くから「諏訪の森」と呼ばれる場所があり、諏訪神社が先に鎮座し、後に浅間神社が勧請されたと伝えられています。

小室浅間明神との関係

浅間明神の勧請元は、吉田口二合目に位置する小室浅間神社（現在の冨士御室浅間神社）であるとされています。

かつては、当社が「下浅間」と呼ばれ、冨士御室浅間神社が「上浅間」と呼ばれていました。しかし、現在ではその呼び方が逆転しており、北口本宮が「上浅間」、冨士山下宮小室浅間神社が「下浅間」と呼ばれることが一般的です。

北口本宮は、富士講御師による対外的な信仰を集めていましたが、冨士山下宮小室浅間神社は、地元民の信仰に根差した産土神・鎮守神でした。明治時代に入り、北口本宮が上吉田の氏子地域を譲り受け、氏神としても信仰されるようになりました。

文化財

北口本宮冨士浅間神社は、多くの貴重な文化財を有しています。

国指定重要文化財

北口本宮冨士浅間神社東宮本殿
北口本宮冨士浅間神社西宮本殿
北口本宮冨士浅間神社本殿（附棟札1枚）
北口本宮冨士浅間神社 8棟：拝殿及び幣殿、惠毘壽社及び透塀、神楽殿、手水舎（附棟札1枚）、隨神門（附棟札1枚）、福地八幡社（附棟札2枚）、諏訪神社拝殿、社務所（附棟札1枚）、（附指定）灯籠 1基
太刀銘備州長船経家文安二年二月日（附糸巻太刀拵）

国指定史跡

「富士山」に包括

県指定天然記念物

冨士浅間神社の大スギ：「富士太郎杉」とも呼ばれる樹齢約千年の大杉。

県指定無形民俗文化財

北口本宮冨士浅間神社太々神楽

市指定有形文化財

北口本宮冨士浅間神社本殿絵馬五面（附絹本著色富士山北面図）
板絵著色椿に筍図 2面
板絵著色飾馬図・松猿図 2面
板絵金地著色神馬図 1面
木造随神倚像（附台座）
富士乃日記（古文書）

市指定天然記念物

北口本宮冨士浅間神社のスギ：「富士次郎杉」と呼ばれ、市民に親しまれている。
北口本宮冨士浅間神社のヒノキ：「富士夫婦桧」と呼ばれ、2本のヒノキが根元で1本になった合着木。

エピソード

神社の隣接地には、かつて富士山自動車という企業がありましたが、廃業後に富士急行が土地を買収し、参拝者用の臨時駐車場として提供されています。

現地情報

所在地

山梨県富士吉田市上吉田5558

交通アクセス

鉄道：富士山麓電気鉄道富士急行線富士山駅より徒歩約25分

北口本宮冨士浅間神社