村山智順

村山智順について

村山智順（むらやま ちじゅん、1891年5月7日 - 1968年9月17日）は、日本の民俗学者であり、特に日本統治時代の朝鮮における社会や文化の調査に携わったことで知られています。彼は日本の宗教である日蓮宗の僧侶でもあり、後に新潟県の寺院で住職として活動しましたが、晩年には東京都に住居を移しています。

生い立ちと教育

新潟県刈羽郡北条で生まれた村山は、幼少期に母親を亡くし、地元の妙広寺に預けられました。そこでは住職の村山智全から教育を受け、私塾で学ぶことができました。教育を受けた後は東京での中学校生活を経て、小千谷中学校を卒業し、その後は第一高等学校を経て、1916年には東京帝国大学文学部哲学科社会学専修に入学します。1919年には卒業論文として「日本国民性の発達」に関する研究を発表しました。

朝鮮での活動

村山は卒業後、すぐに朝鮮に渡り、朝鮮総督府の嘱託として働くことになります。彼は静岡県出身の妻と家庭を持ち、京城府で生活を送りながら、総督府の職務の他、セブランス専門学校での講義も行っていました。地方への調査も頻繁に行い、多くの民俗文化や習慣に関する写真を現像し、自宅で整理していました。この中から約400点の写真が残り、その内215点は2001年に特集として公開されました。

村山の調査活動は、江原道や慶尚道、全羅南道など多くの地域に広がり、彼は各地の習俗や祭礼、占いについて詳細な記録を残しました。特に興味深いのは、彼が1937年から1938年にかけて編集に関わった機関誌『朝鮮』で、彼の独自の視点が反映されています。

日本帰国と宗教的転身

1941年に村山は朝鮮を離れ、東京の朝鮮奨学会にて主事としての職務を引き受けます。この時期、彼は総督府による皇民化教育の強化に対する抵抗感を抱いていたとされ、その不満も影響したと考えられています。村山は1943年に父親の死去をきっかけに身延山で修行し、その後1945年に妙広寺の住職として戻り、学界から身を引きました。

業績と評価

村山の主な業績は、朝鮮総督府によって発行された「調査資料」シリーズに関連しています。彼は同僚の善生永助とともに、広範な調査資料を執筆しました。これらの資料は歴史的文献としても認識されていますが、評価は分かれています。一部は資料的価値が認められつつも、多くは統治に基づくものと見なされています。近年では、彼の研究成果の一部が復刊や翻訳され、韓国でも広く知られるようになりました。

風水と文化

特に村山の著作である『朝鮮の風水』は評価が高く、2000年代には韓国で再翻訳され、広く認知されるようになりました。この本は、韓国における風水に関する研究の先駆けとなり、多くの研究者に影響を与えました。現代の韓国でも彼の業績は重要視され、文化研究の一環として引用されています。

村山智順は、日本と朝鮮を結ぶ文化的な架け橋として、その業績を通じて多くの人々に影響を与え続けています。彼の人生と研究は、彼の時代を超えて、現代社会に生きる私たちに重要な問いを投げかけています。

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