村岡四郎

村岡 四郎について

村岡四郎（むらおか しろう）は、1899年9月10日に生まれ、1975年5月28日に逝去した実業家です。彼は京阪電気鉄道の社長や京福電気鉄道の会長を務め、京阪中興の祖として知られています。位階は正四位で、勲二等旭日重光章を受章しています。

生い立ちと教育背景

彼は神奈川県橘樹郡城郷村（現在の横浜市港北区小机町）にて生まれました。立教中学校を経て、第三高等学校を卒業し、東京帝国大学法学部を修了しました。彼の同級生には近畿日本鉄道の社長を務めた佐伯勇がいます。そのため、村岡は優れた人脈を築くことができました。

京阪電気鉄道との関わり

1923年に京阪電気鉄道に入社し、運輸部門で実績を重ねました。彼が乗客掛長を務めていた1927年から1936年には、「琵琶湖周遊乗車船券」をはじめとする観光客向けの乗車券を数多く発案しました。これにより、琵琶湖鉄道汽船との競争において優位な立場を得ることができました。

1937年には、京都駅と吹田駅間の電化が行われ、新たな競争相手が出現しました。この際、村岡は旅客サービス向上と輸送の確保に注力しました。1940年には運輸部長、1942年に取締役に就任し、その後の経営に影響を与えていきました。

1943年には京阪が阪神急行電鉄と合併し、新たに設立された京阪神急行電鉄の取締役に選任されます。1946年、公職追放の動きが広がる中で、佐藤博夫社長と佐藤一男副社長の辞任を受けて、副社長に就任し、京阪のトップとしての立場を確立しました。

戦後の京阪電気鉄道の再興

村岡は戦後の早い段階から京阪の再分離を主張しました。そして、1949年12月に京阪電気鉄道が再発足すると社長に就任しました。彼の就任当初からの公約には「大阪中心部への乗り入れ」「京阪線曲線部の改良」「鴨東線の建設」が含まれていました。当時、京阪は車両や設備の整備が急務であったため、村岡は「電気鉄道中心の経営」を基盤に据えました。

彼の社長在任中には、新しい車両や保安施設への投資が積極的に行われました。1963年には公約の一つである大阪都心への乗り入れが実現し、淀屋橋駅への延長が完成しました。この際、村岡の揮毫による「先覚志茲成」という扁額が設置されました。

高い経営能力と人柄

村岡はその経営手腕だけでなく、人柄でも知られていました。彼は社員の意見を大事にし、特に現場での意見を重視しました。例えば、鉄道の事故防止策として自動列車停止装置の導入を決定し、迅速な事故対策を行いました。

また、彼は自身の健康問題、特に喉頭がんの影響を受けながらも社長としての役割を全うしました。1961年に声帯を摘出した後も、人工喉頭での発話を続け、企業経営の最前線に立ち続けました。

逝去とその後の業績

村岡四郎は1975年5月に逝去しました。享年77で、彼の死後に正四位に叙され、勲二等旭日重光章が授与されました。彼が掲げた公約の一つである鴨東線は、彼の死から14年後の1989年に実現しています。村岡の功績は、京阪電気鉄道の発展と日本の鉄道業界全体に影響を与え続けています。

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