村田正志

村田正志 (むらた まさし)

プロフィール

村田正志は、1904年9月23日に生まれ、2009年6月26日に104歳で亡くなった日本の歴史学者です。専門は日本中世史、特に南北朝史の研究で、その分野における第一人者として知られています。三重県出身。

生涯

1904年、父の赴任先である茨城県下妻市で誕生しました。その後、三重県立四日市高等学校を経て、1924年に國學院大學予科に入学。1929年に國學院大學史学科を卒業後、東京帝国大学史料編纂所嘱託として勤務を開始しました。

史料編纂所では、『大日本史料』第6編・第7編の編纂に携わり、1942年には史料編纂官補に昇任。1951年には國學院大學に学位論文『南朝歴代天皇御事蹟の研究』を提出し、文学博士号を取得しました。

1930年代には、南北両朝の扱いをめぐり、史学界内外から圧力がかかり、『大日本史料』第6編29の刊行が1939年から1951年まで中断されました。村田は、当時の史料編纂所所長である龍粛の求めに応じ、「大日本史料第六編編纂体裁改変に関する私見」を提出。史実に基づき両朝を併立して扱うことを提言し、その意見が尊重された結果、第6編の刊行は一時中断となりました。その後、出版が再開された後も、第六編室長として編纂作業に尽力しました。

戦後の活動

1954年の制度改正により、東京大学助教授に就任。1965年に東京大学を定年退官後、1966年からは国士舘大学文学部教授として教鞭を執りました。国士舘大学定年退職後も、1982年から1986年まで同大学客員教授を務めました。また、1946年から1986年まで國學院大學文学部史学科兼任講師として古文書学を講じたほか、1955年から1966年まで東京薬科大学兼任講師も務めました。さらに、文化財専門調査会古文書部会長として、古文書・古記録の保護にも貢献しました。

2009年、肺炎により104歳で逝去しました。

受賞・栄典

勲三等瑞宝章を受章。

研究内容・業績

村田の専門は日本中世史、特に南北朝史です。実証史学に基づいた研究で知られ、多くの著作を残しました。その著作は『村田正志著作集』（全7巻）にまとめられています。

代表作である『南北朝史論』（1949年）は、旧説を修正・補強する労作であり、村田を南北朝史研究の第一人者へと押し上げました。長年勤務した東京帝国大学史料編纂所での業務や史学界の活動については、「国史学界の今昔 南北朝時代史の研究と懐旧談」上・下（『日本歴史』1996年1月号、2月号）で詳しく述べています。

南北朝正閏論

南北朝時代の正統性をめぐる論争において、村田は実証的な史料研究に基づき、客観的な立場から考察を行いました。

家族・親族

弟の村田正言も日本史学者であり、1943年に中国の常徳で戦死しました。

著作

著書

『村田正志著作集』 全7巻、思文閣出版、1983-86年

編著

『紙本墨書秋上家文書目録』、島根県教育委員会、1972年
『五条家文書』、続群書類従完成会、1975年
『古文書鑑 様式と筆蹟』、続群書類従完成会、1983年
『出雲国造家文書』、清文堂出版、1993年
『和訳花園天皇宸記』1-3、続群書類従完成会、1998年-2003年

参考文献

米原正義「村田正志著作集 第一巻『増補南北朝史論』 第二巻『統南北朝史論』」『国士舘大学文学部人文学会紀要』第16号、国士舘大学文学部人文学会、1984年1月、153-157頁、NAID 120005957905。
山本信吉「学界消息・村田正志氏の訃」『日本歴史』第737号、吉川弘文館、2009年10月、140頁、ISSN 0386-9164。

関連項目

* 國學院大學の人物一覧

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