村田純一

村田純一について

村田純一（むらた じゅんいち）は、1948年10月25日に兵庫県で生まれた日本の哲学者です。彼は東京大学大学院総合文化研究科の名誉教授として、現象学や知覚論、心身問題、科学哲学、技術哲学など幅広い分野で研究を行っています。

学歴と経歴

村田は武蔵高等学校を卒業後、1972年に東京大学教養学部教養学科の科学史・科学哲学分科を卒業しました。さらに1974年には東京大学大学院理学研究科の科学史専攻に進学し、修士課程を修了します。その後、1977年から1979年にかけて西ドイツのケルン大学に留学し、1980年には東京大学博士後期課程を中退することになります。

1991年には東京大学教養学部助教授に就任し、1997年には教授となります。2011年に同大学を退任した後は、立正大学文学部哲学科で教授として教鞭を執り、2017年には大学院文学研究科長に就任しました。2019年には定年退職を迎えています。

研究内容

村田の研究は、科学哲学や技術哲学から心理学、生態学に至るまで非常に多岐にわたっています。特に1996年頃からは「生態学的現象学」という新しい概念を日本で初めて提唱し、その後の関連する研究の基盤を築きました。この理論は、自然環境と人間の知覚や経験の関係を探求し、科学や技術における倫理的視点をも含んでいます。

彼の業績は、日本における生態現象学の重要な基盤となっており、哲学者の丹羽一晃により「日本において生態現象学について論じる代表的な研究者」と評価されています。ただし、彼の研究は欧米の文脈とは異なる視点から進められています。

主な著作

村田は多くの著作を手掛けており、代表的なものには以下があります。この中には単著から共著、翻訳書まで多様な形式が含まれています。

• - 『知覚と生活世界 知の現象学的理論』東京大学出版会（1995年）
• - 『色彩の哲学』岩波書店（双書現代の哲学、2002年）
• - 『技術の倫理学』丸善（現代社会の倫理を考える 第13巻、2006年）
• - 『「わたし」を探険する』岩波書店（双書哲学塾、2007年）
• - 『技術の哲学』岩波書店（岩波テキストブックス、2009年／講談社学術文庫、2023年）
• - 『味わいの現象学 知覚経験のマルチモダリティ』ぷねうま舎（2019年）

また、共編著や翻訳書もあり、心理学や技術哲学に関する重要な議論を展開しています。

• - 『心理学の哲学』渡辺恒夫、高橋澪子共著 北大路書房（2002年）
• - 『共生のための技術哲学 「ユニバーサルデザイン」という思想』（編、未來社、2006年）
• - 『知の生態学的転回 第2巻 技術 身体を取り囲む人工環境』編 東京大学出版会（2013年）

彼の翻訳研究も豊富で、エルマー・ホーレンシュタインの著作やアドルフ・グリュンバウムの研究などが日本に紹介されています。

結論

村田純一はその広範な専門性と独自の視点で、日本の哲学界において大きな影響を与え続けている存在です。科学や技術における倫理を深く考察し、また生態学的視点を通じて現代の複雑な問題に取り組む姿勢は、今後も多くの研究者に刺激を与えることでしょう。

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