村田英次郎

村田 英次郎

日本の元プロボクサーであり、現在は指導者としてエディタウンゼントジムの会長を務める村田英次郎（むらた えいじろう）氏は、1956年11月30日に京都府で生まれ、滋賀県大津市で育ちました。現役時代の身長は166cm。兄は、かつてジャニーズ事務所に所属しバンドマンとして活動した村田勝美氏です。

キャリア初期とアマチュア時代

村田氏のボクシングキャリアは、1972年に15歳で下北沢の金子ボクシングジムの門を叩いたことから始まりました。アマチュア選手として頭角を現し、1976年のモントリオールオリンピック出場を目指しましたが、代表選考会を兼ねた全日本選手権バンタム級決勝で石垣仁氏に判定負けを喫し、オリンピックの夢は叶いませんでした。石垣氏にはアマチュア時代に3度対戦していずれも判定で敗れています。アマチュアでの通算戦績は、78勝（うち43勝がKOまたはRSC）10敗という素晴らしい記録を残しています。

プロ転向と東洋太平洋王座獲得

アマチュアでの実績を携え、同年7月2日、19歳でプロに転向しました。プロデビュー戦では、後の日本フライ級王者となる佐藤勝宏氏を相手に、わずか1ラウンド57秒での鮮烈なKO勝利を飾ります。プロ入り3戦目には、すでに世界挑戦経験を持つ日本王者、沼田剛氏とノンタイトルながら対戦し、8回TKO勝ちを収めるなど、プロ初期には1引き分けを挟む11連勝（うち8KO）という破竹の快進撃を見せました。

この勢いを駆って、1978年12月14日、OPBF東洋太平洋バンタム級王者の金濚植（韓国）に挑戦。12ラウンドに及ぶ熱戦の末、判定勝ちを収め、念願のタイトルを獲得しました。

東洋太平洋王座の長期防衛と世界への挑戦

東洋太平洋王座獲得後、村田氏は自身の最大の武器である右クロスや右アッパーといったカウンター攻撃を巧みに使い、長期にわたり防衛を重ねました。その防衛回数は12度に及びます。

国内・東洋の頂点に立った村田氏は、世界の舞台を目指します。強打で知られるWBC世界バンタム級王者のルペ・ピントール（メキシコ）、そして「ファンタスティック」と称された名ボクサー、WBA世界バンタム級王者のジェフ・チャンドラー（米国）といった当時のトップチャンピオンたちに挑みました。1980年6月11日、WBC王者ピントールとの初の世界挑戦は、15ラウンドフルに戦い抜き引き分け。翌1981年4月5日、WBA王者チャンドラーとの初対戦もまた、15ラウンドの激闘の末に引き分けとなり、世界王座獲得には至らなかったものの、世界のトップレベルと互角に渡り合える実力を証明しました。

「世界王座に近い男」と現役引退

その実力は高く評価され、一時はWBAおよびWBCの両団体で同時に世界ランキング1位に名を連ねるなど、「世界王座に最も近い男」と称されるようになりました。しかし、村田氏の前に再び立ちはだかったのはジェフ・チャンドラーでした。1981年12月11日のWBA王座再挑戦では13回TKO負け。そして、自身にとって通算4度目、チャンドラーとの3度目の世界挑戦となった1983年9月11日の試合も、10回KO負けを喫しました。この敗戦を受け、村田氏は東洋太平洋王者のタイトルのまま現役を引退することを表明しました。正式な引退セレモニーは、翌1984年3月のガッツファイティングで行われました。

引退後の活動

現役引退後、村田氏は指導者としての道を歩み始めました。師であるエディ・タウンゼント氏から意志を継ぎ、エディタウンゼントジムの会長に就任。東洋太平洋フライ級王者となった小松則幸氏をはじめ、多くの後進ボクサーたちの育成に情熱を注いでいます。アマチュアからプロ、そして指導者として、ボクシング界に深く関わり続ける村田英次郎氏のキャリアは、多くのボクサーたちの目標となっています。

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