杜文秀

杜文秀の生涯と回民反乱

杜文秀（と ぶんしゅう、Du Wenxiu、1823年 - 1872年）は、清末において大きな歴史のうねりを生み出した雲南省の回民反乱、パンゼーの乱の指導者として知られています。彼は、雲南省永昌府保山県に生まれ、実名は知られていないものの、文字では「雲煥」とし、号は「百香」と称されました。16歳の時には生員に選ばれ、その知恵と情熱を以て、社会の中での不公平や抑圧に立ち向かう道を志しました。

反乱の背景

当時の雲南では、回民と漢人の間に張り詰めた緊張関係が存在し、回民が漢人によって虐殺される事件が頻発していました。この状態を見た杜文秀は、1846年に北京へ訴え出ますが、彼の要求は無視され、逆に処罰を受ける結果となりました。この経験が彼の心の中に深い怒りを抱かせ、清朝に対する反乱の機会をうかがうきっかけとなりました。

パンゼーの乱の勃発

1855年、雲南で漢人鉱夫と回民鉱夫との間に起こった衝突を契機に、回民の大規模な蜂起が発生しました。清朝当局による回民の弾圧も激化する中、1856年には杜文秀が雲南省西部の回民を集結させて清朝に対する反乱を開始しました。この反乱は、西欧では「パンゼーの乱」として知られるようになり、回民だけでなく、一部の漢人や他の少数民族も参加したとされています。

杜文秀は反乱を通じて大理など50以上の都市を制圧し、次第に勢力を増していきました。そして彼は自身を「スルターン・スレイマン」と名乗り、回民軍の指導者であることを誇示しました。また、「総統兵馬大元帥」という称号を持ち、蔡発春を大都督、馬金保を大将軍、李国綸を大司空に任命するなど、体系的な指導体制を築きました。さらに、李文学が率いるイ族の蜂起軍と連携を図ることで、反乱の広がりを加速させました。

反乱の行く先

杜文秀の勢力は、雲南省西部を基盤とする一方で、東部には回民反乱を指導していた馬如龍の勢力が存在していました。両者はそれぞれ異なる目標を持っていたために対立しました。杜文秀は清朝からの独立を目指しましたが、馬如龍は清朝の内部でイスラームの信仰を守ることを目指し、結果的に1862年に馬如龍は清朝に降伏することとなりました。

その後、1867年には杜文秀が娘の杜鳳楊と娘婿の蔡廷棟に昆明を包囲させたものの、失敗し、反乱の情勢は厳しくなっていきました。1869年になると、旧馬如龍の軍の協力を受けた清朝の軍が反攻を開始し、杜文秀の勢力は次第に追い詰められます。ついには1872年に大理が陥落し、杜文秀は自ら命を絶つことになります。この時、彼の指導下での反乱も1874年までに完全に鎮圧されてしまいます。

今日の杜文秀

杜文秀は農民の出身という背景を持っていたため、1950年代以降の中国政府からは再評価され、雲南省内には彼を記念する多くの記念物が建立されています。彼の人生は、苦境に立たされながらも、反乱を通じて多くの人々に影響を与えた歴史的な人物として、今なお語り継がれています。

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